第328話 人格の時間 ページ32
Aside
私が目を開けた時に、最初に見たもの。
それは…
風になびく、真っ赤な髪だった。
カル、マ…?
どうしてカルマが…それに、ここ…
さっきまで悠馬とトイレに居たはずなのに…なんで…?
私はなぜか裏山にあるカルマのお気に入りのお昼寝スポットで、カルマに膝枕をしてもらっていた。
そのカルマはというと、木に寄りかかってぐっすりと眠っている。
首が下を向いているから、寝顔が丸見えだ。
良かった…最後にまた会えて。
思わずカルマの頬に手を伸ばしかけて、すぐにその手を引っ込める。
まだこうしていたい気持ちを抑えて、私はカルマを起こさないようにゆっくりと立ち上がり、カルマに背を向けて歩き出した。
さて、これからどうしようか。
とにかく今は…なるべく遠くに行こう。
カルマの目が覚める前に、皆に気付かれる前に…できるだけ、遠くへ。
これからの事なんて、歩きながら考えれば…
業「俺を置いて…どこに行くつもり?」
『…カルマ…!』
熟睡しているはずのカルマが、私を後ろからギュッと抱きしめてきた。
業「約束したじゃん。もう黙って俺の前からいなくならないって」
『…私は…カルマを殺そうとしたんだよ?』
業「けど、殺せなかった」
『…それは……ッ…』
思わず返す言葉に詰まる。
確かに私はカルマを殺す事ができなかった。
でも…
『…私、怖いの』
業「…怖い?」
『…もしまたああいう事が起こったら…私は今度こそ、本当に誰かを殺してしまうかもしれない。私はそれが怖い』
業「Aはいつから気付いてたの? 自分の中にある、もう1人の自分の存在に」
『…いつからかは…正直、よく覚えてない。気付いた時には、"彼女"はもう私の中にいた。彼女は多分、私の怒りの感情そのもの』
業「だからAは、強い怒りを感じると人格が変わってしまう…」
『…遅かれ早かれ、いつかこうなる事はわかってた…』
そう、わかってたんだ…わかってたのに…
『…もっと早くに消えるべきだった。それなのに、私はE組(ここ)の居心地の良さと、皆の優しさに甘えてしまった』
業「消えるって? まさか、また死ぬつもりでいるの?」
『…私は生きているだけで、周囲に害を及ぼす可能性がある。でも…もう死のうなんて思ってない。カルマや殺せんせーが助けてくれた命を、無駄にしたくない』
業「じゃあ…ここから消えて、Aはどうするの?」
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みあ(プロフ) - ちぃさん» お待たせしました! 続編、ついに公開しました!(といっても、今はまだ設定しか載せてないです、すみません…) また読んでいてついニヤけてしまうような面白いお話を書けるよう頑張りますので、これからも応援よろしくお願い致します! (2016年6月14日 0時) (レス) id: 84281e05bb (このIDを非表示/違反報告)
みあ(プロフ) - リナさん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ありません。続編、やっとできました! まだ設定しか載せてないんですけど、これから続きのお話も完成次第載せていくので、良かったらまた読みに来て下さい! お待ちしてます! (2016年6月14日 0時) (レス) id: 84281e05bb (このIDを非表示/違反報告)
みあ(プロフ) - 矢澤ありすさん» お久しぶりです、みあです。これは事後報告になるのですが、小説の説明文に矢澤ありすさんの作品のURLを勝手ながら貼らせていただきました。理由はイラストと一緒に書かれていた文章が読んでいてとても嬉しかったからです。報告が遅くなり、申し訳ありません。 (2016年6月14日 0時) (レス) id: 84281e05bb (このIDを非表示/違反報告)
みあ(プロフ) - salomeさん» ずっと返信ができてなくて申し訳ありません。お名前変わったんですね! これからも宜しくお願い致します。まずは7のコメントを全てチェックして返信した後に0の方のコメントもチェックしにいきますね! (2016年6月14日 0時) (レス) id: 84281e05bb (このIDを非表示/違反報告)
みあ(プロフ) - ひよこリュナさん» ご無沙汰しております、みあです! つい数分前についに続編を公開しましたので、この場を借りてご報告させていただきます! まだ設定しか載せてませんが、是非8の方もよろしくお願い致します! (2016年6月14日 0時) (レス) id: 84281e05bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みあ | 作成日時:2016年4月11日 0時