【赤羽業】赤髪くんの味方をしたら、E組に落とされた。7

第323話 吐き気の時間 ページ27

Aside



私はすぐに電話をかけようとして、その直前で指を止めた。


電話をするのが怖くなったからだ。


カルマに何を言われるのか、カルマとどう話したらいいのか…わからない。


それでも…


私は指を震わせながら、カルマに電話をかけた。


業「…おはよ、A」


カルマはすぐに電話に出た。


『…お、おはよう…カルマ』


私がなんとか絞り出した声でそう言うと、なぜかカルマがクスッと笑った。


業「もしかして…緊張してる？」


『…うん、まぁ…』


業「今から会える？」


『…えっと…それは…』


こうして電話で話すだけでも精一杯なのに、直接会って話すなんて、今の私には…


業「…ごめん。無理しなくていいよ」


『…ごめんなさい』


業「いいよ、謝らなくて。どうせ明日になれば会えるんだし。体調は？」


『…平気』


業「そ。ご飯はこれから？」


『…うん』


私を気遣う言葉に、優しい声。


どうしてカルマは…こんな私に優しくしてくれるんだろう…


嫌われてしまってもおかしくない事を、私はしてしまったというのに…


皆だってそうだ。


なんで、私なんかに…


業「…A？ 聞こえてる？」


『…え？』


業「俺、明日は遅刻しないで行くから」


『…あ、うん…』


業「じゃ、ちょっと早いけど…おやすみ、A。声が聞けて良かった」


そう言って、カルマが電話を切る。


私も…カルマの声が聞けて、本当に良かった。


カルマと少し話して、なんだか心が落ち着いたような気がする。





けど…それは錯覚だった。





急に吐き気がして、トイレへと駆け込む。


何も食べていない私の口から吐き出されるのは…当然だけど、胃液だけ。


吐いても吐いても、吐き気が全くおさまらない。


頭も痛い。


頭の中で、何度も"あのシーン"がフラッシュバックして…その度に、頭とお腹に激痛が走る。


そんな状態がしばらく続いた結果、私はご飯を食べる事はおろか、あれから朝まで一睡もする事ができなかった。


ほぼ丸1日寝てたわけだから、別に一晩くらい寝ずに学校に行っても、たぶん問題はない。


問題があるとすれば…この吐き気。


何も食べていないから薬を飲む事はできないし、だからといって今は何も食べられそうにないし…


こうなったら…外の空気でも吸って、気を紛らわせるしかない。









そう思った私は、いつもより2時間も早く家を出て、学校へと向かった。

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