tune.14 ページ14
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「‥‥いや だから、私仕事中なの。暇だからって電話かけてこないでよ」
放課後、生徒会室に戻ると漏れ聞こえてきたそんな声。
控えめにノックしてから扉を開けると、彼女はこちらを見て申し訳無さそうに片手を顔の前で立てた。そして「ほら、すぐ防衛任務なんでしょ、三輪に怒られる前に早く行きなって。‥‥うん、はい、じゃーね」とスマホを耳から離した。
「電話邪魔しちゃったか？ ごめんな」
「ああいや、全然。特に理由のない通話でし‥‥だったから、大丈夫。衣更‥‥くん」
「相手、ボーダーの人？」
「うん。任務のために早退したんだけど時間まで暇だからってかけてきたんだよね」
苦笑しつつ説明する姿は、昼休みに会った彼女とは随分印象が違って見えた。あの時の雰囲気はどこか近寄りがたい感じがしたが、今は年相応といった顔である。
「衣更くん、放課後のレッスンがあるんじゃないの？」
「ああ。けどその前に、千田に届け物」
差し出した紙袋には、担任から頼まれた彼女の分の教科書が入っている。
これを届けるために、スバル達が来る前に教室を抜けてきたのだ。
「わざわざありがとう。
‥‥ちなみに、アイドル科の一般科目のレベルは？」
「うーん、そんなに高くねーと思うけど。
千田、前の高校は？」
「三門市立第一」
「ああ、じゃあ普通に追いつけると思うぞ」
「そっか、なら安心」
そう微笑むが、パソコンに向き合うと顔は一気に仕事人の表情になる。忙しなく動く指と視線は、休むことを知らない。
「じゃあ俺はレッスン終わったらそのまま帰るから。あんまり遅くなりすぎないようにな」
「うん、また明日」
生徒会室を出て扉を閉めると同時に、「あっ！ サリ〜見っけ！」と騒がしい声がこちらへ走ってきた。北斗と真も一緒だ。
「教室いないからどこ行ったのかと思ったよ！」
「悪い悪い、ちょっと急ぎの用事があってな」
「へー、何々？」
「生徒会の仕事だよ。明日、新しくプロデュース科に転校生が来るって聞いたろ？ それ関連の事務処理」
「ああ、そういえば佐賀美先生がそんなことを言っていたな」
「あんずちゃんの女の子の友達が増えるのかぁ。衣更くん、どんな子か知ってる？」
ちょっと嘘をついてしまったが、あながち間違いではない。
詳しくはまだ知らないんだ、と真に返す。
年不相応に大人びている、という彼女の第一印象と、最後に見た17歳の女の子らしい笑顔はなんだかアンバランスだったが、不自然ではないのが不思議だ。
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夏向(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。めちゃくちゃ原動力になります！！ (2021年5月16日 22時) (
レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - れいゆふさん» ありがとうございます。そういったコメントを頂けると作者冥利に尽きます…！！ (2021年5月16日 22時) (レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
りん - とても面白かったです！続きがとても楽しみです！ (2021年5月16日 15時) (レス) id: 5a0e3d3105 (このIDを非表示/違反報告)
れいゆふ(プロフ) - めっちゃ好きです！更新楽しみにしております！ (2021年5月12日 3時) (レス) id: e48528e707 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - 星宙*°さん» ありがとうございます。感想めちゃくちゃ嬉しいです…！のんびり更新の上どこまで続くかわかりませんが、最後までお付き合い頂ければ幸いです^^ (2021年5月11日 22時) (レス) id: fd39a6918d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2021年3月31日 16時
