デラシネ〔9〕【終わりのセラフ×ワートリ】 (ページ4)

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第338話ページ4

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お前を殺したくない、なんて。

考えられるありとあらゆる可能性を脳内で挙げ、そんな訳ない、あのグレンが仲間を殺すわけない、と心中で叫ぶ。しかし、その私の期待を裏切る例として思い出したのは、名古屋でのグレンの行動記録。

仲間を殺すなんて、普段のグレンなら、正気ならありえない。ならば、あの名古屋での一件は鬼に取り憑かれたもう1つのグレンの人格がやったことになる。

私が見えるはずのない柊真昼の姿を捉えることができたのは、グレンの中で鬼に取り憑かれるということ以外に何かイレギュラーが起きていると考える方が自然だろう。

考えろ、考えろ。グレンは何をしようとしている？彼の中の「イレギュラー」は、グレンにとって計画の内？それともアクシデント？

「‥‥あぁもう、手がかかる」

一人にしないと決めた。けれど、そのためには彼がどういう意図で、何をしようとしているのか情報を集めなければいけない。しかし彼は、それを残さないように動いている。残されているのは、誰と何を話したか、そしてその時の態度や表情のみ。

それならば単独で行動するより、グレンが接触を図りそうな、かつグレンに接触を図りそうな人物と合流した方がいいだろう。

少将達のもとを離れたのなら、グレンはきっと彼らとは合流するつもりはないはずだ。
今までのグレンの行動を考えると───優か、君月くんの可能性が高いか。君月くんの妹は《終わりのセラフ》の成功体である。グレンが接触しようとする理由はそれだけで十分な気がした。

しかし君月くんからグレンと合流しようとする可能性は低いだろう。単純に、グレンは君月くんの妹をあんな姿にした原因の一人だから。彼にとってグレンは恨むべき対象である。

「‥‥優、かな」

ミカが既に優と合流しようと向かっているはずだが、果たしてどうなったか。ミカなら優を連れ去った者たちを始末するなど造作も無いはずだが、何が起こるかわからないのが戦争である。