ご加護のつく少女は見習いです。【ブラック本丸】 (ページ42)

今日:1 hit、昨日:21 hit、合計:332,133 hit

卅参.薬研くんです。ページ42

秋田「主君、薬研兄さんを助けてくれてありがとうございます。」

目に涙をためながらAの顔を見て話す。

その発言に対して、前田は察したように頷き、厚、信濃は頭にハテナを浮かべている。

前田「あなたがいなければ、薬研兄さんは闇堕ちしていたかもしれません。僕からもお礼を言わせてください。…主君。」

少し恥ずかしそうに俯きながら、はっきりとした声で主君と呼ぶ。

厚「ちょ、ちょっと待ってくれよ。どういうことだ？見習いさんは薬研を手入れした後、他の兄弟も助けてくれたんだろ？どうして薬研だけなんだ。」

困惑した表情を浮かべながら秋田と前田に問いかけている。

前田「厚兄さんと信濃兄さんは知りませんでしたね。二振りとも出陣させられてましたから。」

秋田「薬研兄さんは、僕たちのために審神者さんのご機嫌とりをしてくれていました。それは兄さん達も知ってますね。
　そして、薬研兄さんの反対をおしきって、兄さんたちが出陣させられてた時、薬研兄さんが薬を作っているところを審神者さんにバレてしまったんです。」

困り眉になりながら説明を進めてくれる。

前田「審神者様は大激怒。薬研兄さんに掴みかかって、暴力を振るっていました。
　その間、ずっと謝り続ける薬研兄さん。気がすんだ審神者様は、ある条件を言って許しました。それが、、」

秋田「「一人称は俺に直せ。薬はもう作るな。」と。審神者さんは薬研兄さんの一人称が嫌いだったようで。
　薬研兄さんからするとこの条件は、自分の全てを変えるようなものです。自由が無くなっても、一振りで包丁やみんなを守らなければならないと自分だけで抱え込んで。
　そして、追い込むように僕らがいなくなった。…本当なら、もう闇堕ちしていたはずです。」

少し、怒りがこもった声色に変わる。当時の事を思い出して、怒りがこみ上げてきたのだろう。

厚「でも、包丁がいた。ってことか。ほんっと、薬研は、変なところ頑固だよな。」

信濃「それは分かる。兄弟のためならって全然休まないし。」

こちらも思い出して呆れたという表情をしている。

厚「だから、アンタは【俺っちな薬研】ってのをご所望だったわけだ。」

信濃「…今さらで悪いけど、兄弟のこと、助けてくれてありがとう。」

二振りは会った頃とは全く別人のように微笑んでこちらを見てくれている。

『…かわ、、い、いえ、当然の事をしたまでですっ。↑…』
声裏返った。。