認 知 済 -まふまふ-

〃 ページ19

ま「ヤナセはさ、どうなの？
その……ボクのリスナー第1号だってみんなに知られて」



ずっと聞きたかったこと。
言った時は思わず口から出ただけで、ヤナセに事前許可を得ることは出来なかったし、彼女はコメントでやめてくれ。とボクに言っていたから。


あっという間に名前が広がって、リスナーのみんなは良くヤナセとのツーショット写真を送ってくれるし、最近ではヤナセについてまとめてるブログもあるほど。


ボクがTwitterをフォローしたことによって、他の歌い手達にもフォローされることにもなったし、ひきフェスにで事で、今までは知らなかったnqrseくんや、あらきさん達もヤナセののとをフォローしたわけだし。


自分の望んだことではないのに、名前が広がってしまったこと、どう思ってるんだろう。



「最初はなぁ、はぁ？って思った。
そんなん言うていいわけないし、どうなんかなぁって。
でも、リスナーさん案外認めてくれるし、まぁ否定派もおるけど、こうなったらなったで割り切らなあかんしな。
何って初めてリスナーさんと色んな事共有できるようになったから、割と感謝してる」



彼女はヘラっと笑って、グラスに入っていたお酒を飲み干した。


悩んでたのがバカみたいだと思う。

ヤナセが笑顔でいれるなら、それでいいじゃんか。
今まで他のリスナーと関わりを持ってこなかったヤナセが、こんなにも楽しそうにしてる姿を見れるんだから。
これで良かったじゃんか。


それなのに、どこか自分だけが知ってたかった気がするんだ。
Aの笑顔を、優しさを、時に見せる厳しさを。
ボクだけが知ってればって。

他の歌い手さん達との繋がりも増えていくヤナセ。

大切な友人達に芽生えたのは、ヤナセを知ってくれて嬉しい気持ちと、知らないでいて欲しかったという我儘な気持ちで。
どっちつかずな心は、ふわふわと飛んでいってしまいそうだった。

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