【鬼滅】鬼狩少女は今世こそ人生を謳歌したい【MHA】 (ページ10)

今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:55,270 hit

０９：実技終了ページ10

終了の合図が鳴り響く頃には、仮想敵は原型を留めていなかった。私の技と他の受験生達の“個性”でボロボロだ。

つい１０分前まで私を馬鹿にしていた奴らは怯えた目で私を見つめていた。
…気にしない。そんなことより怪我人の救助だ。

「君！もじゃもじゃの君！生きてる！？」

ダメだこれは…完全にのびてる。

「はいお嬢さん、ハリボーだよ。お食べ」

「は、はい！？」

「その子を助けようとしてくれたんだねぇ。でも大丈夫だからねぇ」

その瞬間お婆さんは自身の唇を長く伸ばしもじゃもじゃ頭の子にキスをした。
え、えぇ…？そういう“個性”なのかな…。

「お嬢さんは無傷なんだねぇ。凄いじゃないか」

「はい！怪我したら大変なので！それにしても、それって“個性”ですか？」

「そうだよぉ。さっきの試験を見てたけどお嬢さんの“個性”も凄いじゃないかい」

「…？いえ！私は無個性なので！では！ハリボーありがとうございます！」

私の何気ないその一言でその場にいた全員がどんな表情をし、彼らにどんな影響を与えてしまったのかはこの時の私は知る余地もない。

「久々に暴れた！！頑張った！炭治郎ー！伊之助ー！善逸ー！」

三人ともピンピンしていた。というか凄く生き生きしていた。
善逸を除き。

「後は結果を待つのみだね～！」

「ああ！皆よく頑張ったな！よかったらこの後俺の家に来ないか？パンをご馳走するぞ！」

「本当！？やったー！」

試験後、炭治郎の言葉に甘えて四人で炭治郎の家にお邪魔した。
相変わらずここのパンは美味しい。あと禰豆子ちゃんが可愛い。

「……？A、何か悲しい匂いがするぞ」

「んぐっ、え、えぇ！？」

「うん確かに。悲しい音がする…何かあった？」

「……」

何かあったといえばあったが…。
女のくせにって言われて悔しかったとか、馬鹿にされて嫌だったとか恥ずかしくて言えない…。

「…き、聞いてよ！今日お面つけてたら「ブスだからお面してるんだ」って言われたんだよ！？」

「なんだと！？誰だそいつは！俺らが懲らしめてやる！」

「Aちゃんの美貌がわからないとか“個性”以前の問題じゃない！？」

「よくわかんねぇけどこのパン食わねぇならもらうぞ！」

「ちょっと伊之助！？」

なんとか空気が和やかになった。よかった…。

その日はそのまま解散し、それぞれの帰るべき場所へ戻った。