そんなんじゃねーよ 【ky】3.14企画�� ページ29
｢キーヨーくん｣
｢朝っぱらから何｣
ホームルーム前の予鈴が鳴り響くとみんなが席に着く。
だからと言って、黙って授業の準備をするわけでもなければ勉強を始めるわけでもない。
みんな好き勝手に周りと喋ったり携帯を弄ったりしていて結構賑やかだ。
それは私も例外じゃない。
私と彼氏のキヨくんは席が隣。
キヨくんは眠そうに机に肘を着いているけど、そんなことはお構いなしに話しかけた。
｢今日ホワイトデーだよ｣
｢あーそうですかー｣
彼女が話しかけているにも関わらず、私の方を見向きもせず気怠そうにしている。
あーそうですかー、じゃないって。
ホワイトデーだよ、ホワイトデー。
周りの女子を見てみれば、さっそくお返しをもらったのかキャッキャしている人もいる。
バレンタインデーに大層なものをあげたわけじゃないから期待はしていないけど、キヨくんは何をくれるのかな。
｢お返し欲しいなー｣
｢わりい、興味なかったから忘れてたわ｣
ん？今、何て言いました？
｢え、忘れてたの？｣
｢そー。だから何も準備してない｣
あまりにも予想外な言葉に口が開いて塞がらない。
そんな私より大きな口を開けて大欠伸をするキヨくん。
え、まあ、仕方ない、かあ。
忘れてたなら。
キヨくんは記念日とかイベントごととか、あまり気にしないタイプだもんね。
クリスマスだって家族と過ごすって言われたし、誕生日だって私が自分で主張した後におめでとう、って言葉をもらっただけだし。
いや、悪いことじゃないと思うんだけど、やっぱりちょっと寂しい。
一緒にいろんなことをして、いろんなことを楽しみたい。
キヨくんとの思い出がもっと欲しいけど、諦めるしかないかなあ。
好きな人と付き合えただけ幸せか。
そんなことを考えて、小さく気づかれないようにため息をついた。
一番後ろの窓際っていう特等席が仇となって誰も喋る人がいない。
だから仕方なく授業の準備をしていると、キヨくんが思い出したように声を出す。
｢あ、でも母さんが買っておいてくれたやつがあるわ｣
そう言ってカバンから小さい袋を取り出す。
ほら、と言ってぶっきらぼうに渡されたそれを受け取ると、お菓子の詰め合わせのようだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 123人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽっぽ(プロフ) - りなさん» コメントありがとうございます。わわわ、とても嬉しいお言葉...!!私は嬉しくてハゲそうです...! (2018年2月21日 22時) (
レス) id: 5326fc1be3 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - どうしよう！文章の書き方が私好みすぎてハゲそうです！ (2018年2月21日 22時) (レス) id: 033c473335 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鳩ポッポ | 作成日時：2018年2月20日 16時
