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｢これから、リレーにアンカーで出るんだけどさ｣
アホっぽい表情をしているであろう私の耳に届く声。
ちらりと私のことを横目で見てくる表情も声も、どこか緊張している様子だ。
そりゃ緊張するよね、トリの種目だし。
今の時点で2位の私たちのチームとしては、これに勝てば一発逆転だってありえる。
人気者は大変だなあ、なんて考えを巡らせていると、いつもとは違う自信のなさそうな声が響いた。
｢俺が勝ったら｣
付き合ってください、と続いた言葉に心臓がドクンとなる。
さっきまで私の耳に届いていた体育祭の喧騒が一瞬で聞こえなくなった。
え？今、なんて言ったの？付き合ってください？
それに、キヨくんが同い年の子に敬語を使っているのなんて初めて聞いた。
｢応援、してくれねえ？｣
言葉も状況も呑み込めないでいる私を、キヨくんは不安そうな顔で見つめてくる。
心地よい風が私たちの頭上を通り抜け、木々の葉を揺らした。
状況を、言葉を理解してしまった私の体温は気温より高く感じる。
心臓の音も、応援団の太鼓の音より大きく体中に響く。
そんな中で考える余裕なんて私にはなくて、気持ちのままに声を出した。
｢応援、するよ｣
緊張のせいで動きづらい口を必死に動かして伝えると、キヨくんはびっくりしたように目を大きく見開く。
そしてすぐに嬉しそうに大きな笑顔を見せた。
「頑張るわ！」
そう言って立ち上がった姿は、普段通りのキヨくんだった。
でも、校庭の中心にある集合場所へと駆けていくときに見えたその横顔は、ちょっとだけ赤かった気がする。
”それでは、最終競技のリレーを開始します。”
放送部の声が校庭に響いた。
私はがやがやと騒がしいクラスの集団の端っこに立っている。
いたるところから、絶対1位！負けるな！とか、キヨくんがんばって！とか叫び声が響く。
キヨくんはアンカーなのにもう応援されるほど人気者なんだから、私が応援しなくてもいいのに。
それなのに、キヨくんは私に応援してくれる？なんて、実は欲張りなのかも。
さっきのことを思い出していると、応援するよ、といった時のびっくりした表情が浮かぶ。
なんであんなにびっくりしていたんだろう。応援しない、なんて言うわけがないのに。
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ぽっぽ(プロフ) - りなさん» コメントありがとうございます。わわわ、とても嬉しいお言葉...!!私は嬉しくてハゲそうです...! (2018年2月21日 22時) (
レス) id: 5326fc1be3 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - どうしよう！文章の書き方が私好みすぎてハゲそうです！ (2018年2月21日 22時) (レス) id: 033c473335 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳩ポッポ | 作成日時：2018年2月20日 16時
