いやなことがあったとき 【rtrt】 ページ1
｢おかえりー｣
私が部屋に入ると、レトさんはパソコンに向かって何か作業をしていたようで、その手を止めて振り向いた。
いつもなら私がただいまー、と返すとパソコンに向き直るレトさんが、今日は私のことをじーっと見つめてくる。
実は今日、仕事で嫌なことがあって気分が優れなかったから、帰り際にカフェによって気分転換をしていた。
まさか、そこで食べたチョコレートケーキのクリームがついていたりして。
焦って口元を触ってみるけどそんな感じはしない。
おかしいなあ、どうしたんだろう、と同じようにレトさんを見つめ返すと、ゆっくりレトさんが口を開いた。
｢A、なんか嫌なことあったでしょ｣
｢え｣
伺うようにではなく、確信をもって紡がれた言葉にびっくりして思わず声がもれる。
確かに嫌なことはあったし、気分転換のためにカフェによったのはいいけど、結局気分は晴れずにその気分のままで帰宅してしまった。
それが顔に出てたのかな、そんなに顔に出るタイプじゃないんだけどなあ。
｢なんでわかったの？｣
相手が気付いているなら隠すこともないし、それよりなんで気付かれたのかがひっかかってしまった。
バッグを定位置に置いて上着を脱ぎ、床に座っているレトさんの横に座る。
もうそろそろ初雪が降るらしいこの季節のカーペットは冷たい。ちょっとでも温かさを求めてレトさんの膝に少し触れるくらいまで近づいて、視線を合わせた。
｢それくらいわかるって｣
レトさんは、当たり前でしょ、とでも言うようにさらっと答えて、小さく笑いながらマウスから手を離す。
そして私の方に体を向けると、お疲れ様、と言って、まるで小さい子を慰めるように私の頭をぽんぽん、と撫でた。
あれ、おかしいな。
ただそれだけなのに、急に目頭が熱くなる。
その熱を冷ます暇もなく、ぶわっと溢れた涙が頬をつたった。
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ぽっぽ(プロフ) - りなさん» コメントありがとうございます。わわわ、とても嬉しいお言葉...!!私は嬉しくてハゲそうです...! (2018年2月21日 22時) (
レス) id: 5326fc1be3 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - どうしよう！文章の書き方が私好みすぎてハゲそうです！ (2018年2月21日 22時) (レス) id: 033c473335 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳩ポッポ | 作成日時：2018年2月20日 16時
