【twst】NRC生が敵連合に拾われ雄英高校に行く話【MHA】 (ページ9)

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◇０８「人助け」ページ9

確実にあの子は落ちてる。
だって足も手もぶらぶらしてるし、なんか泣いてるし絶対に落ちてる。

…よく見ると肌が変色してるのがわかった。一体何をどうしたらあんなことになるんだ。
あれが“個性”の代償なのだろうか？だとしたら代償がデカすぎるだろう。

…でもどうでもいい。私には関係ないことだ。
だってあの子が落ちたところで私の人生には何も影響がないのだから。このまま無視すればいい。
…関係ない。関係ないんだ。

関係ないんだから…

「…っあぁ、もう！馬鹿なの！？」

「……あ、あれ？落ちて…ない？」

泣きながら落ちてく哀れな彼が何故だか放っておけなくて、私は魔力を全開にして箒を飛ばし、気がついたら彼の左手を掴んで助けていた。
…あぁ、やっぱり人助けってなんだか恥ずかしくて苦手だ。

「うっ………」

…まずい。
彼の元へ行くのに魔力を一気に使い過ぎたせいで少し目眩がする。
少しでも気を抜くと、箒に送る為の魔力が切れて…

「…あっ」

「えっ？」

…しまった。
気付いた時にはもう既に遅かったようで、私は彼の左手を握ったまま空から落下し始めた。
まずいぞ。
わざわざ助けた手前、情けなく２人揃って落っこちてあの世行きだなんて絶対に御免だ。カッコ悪過ぎる。

…仕方ない。もう奥の手を使うしかない。

「っ、しっかり私に捕まって！」

「…えっ！？あ、はい！！」

「…っ『…これは遠い昔から語り継がれた、真実の古い物語…
私に応えて、私を助けて！

________孤独の野獣に愛を(アムールフォーベスティア)！！』」

私の詠唱に合わせて周囲に赤い薔薇の花弁が現れ、それらは私達を包む様に鮮やかに舞っている。
視界が赤い花弁で染まっていくのを見て、助かったのを確信し私は安堵する。

嗚呼、“彼”さえいればもう安心だ。

大量の赤い花弁が一ヵ所に集まる。
そして黄金に輝く光の粉と共に花弁は次第に人の形へとなっていき、やがてそれは実体となった。

空中に現れた“野獣(ビースト)”は私と私にしがみついている緑髪の男子生徒を抱き抱え、軽い足取りで地面に着地した。

「…ふぅ、よし」

『よしじゃねぇ』

「な、何よ…」

私達を助けてくれた“野獣(ビースト)”もとい“アダム”は、怒りの表情を露にしながら緑髪の男子生徒を地面に放り出して私の方にズカズカと歩み寄ってきた。