◇１５「自由な校風」 ページ16
***
「おい、お友達ごっこしたいなら他所へ行け。…ここはヒーロー科だぞ」
私がスマホを弄っている間にいつの間にか全員来ていたようだ。唐突聞こえた大人の声で私の意識は現実に引き戻される。
ふと入り口付近に目をやると、そこには声の主であろう大人以外にもあの緑髪と茶髪の受験生もいた。あの人達も受かっていたのか。
「ハイ、静かになるまで８秒かかりました。時間は有限。君達は合理性に欠くね」
…彼は一体誰だろう。
大人という事は先生なのだろうか。それにしては少しくたびれてるというか…。失礼だが、先生らしくない。
いや、
「担任の相澤消太だ。よろしくね」
私の読みは当たっていたようで、寝袋に入った男性は自身を担任だと名乗った。
本当に先生なのか。目をつけられない様に気をつけよう。
「早速だが、
「入学式は！？ガイダンスは！？」
突然の出来事に対し、茶髪の女子生徒が相澤先生に抗議する。
そういえば、まだ入学式をやってないな。それに寮分けも無いし…まぁ、ここ全寮制じゃないから当たり前なんだけど。
「ヒーローになるならそんな悠長に行事出る時間ないよ。雄英は“自由”な校風が売り文句。そしてそれは“先生側”もまた然り」
「……」
「ソフトボール投げ、立ち幅跳び、５０m走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈……」
…つまり、入学式はしないということか。
ナイトレイブンカレッジも名門校だったけど流石にしたぞ。
それに個性把握テストって…なんて面倒くさそうなテストなんだ。周りの生徒は結構やる気があるみたいだけど…。
“個性”が使えるのが嬉しいのか、面白そうだという声が聞こえてくる。どこが面白そうなんだ。
私は全く面白そうに見えない。物凄く面倒くさい。
「面白そう…か。ヒーローになる為の３年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい？……よし、トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し、除籍処分としよう」
面白そうだと言った生徒の声に反応した相澤先生がボソボソとなにかを言い始めた。
「生徒の如何は先生の“自由”
ようこそ、これが
雄英高校、ヒーロー科だ」
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作者名：匿名 | 作成日時：2020年7月9日 4時
