橙 ページ27
トガちゃんに連れられ、買ったゲームは弔くんの選んだプロポーズゲームだった。
「あ、弔くんの勝ちなんだ？」
「私判断で、弔くんの勝ちです」
「賭けの 内容知らないから何とも言えない…」
何とも言えない顔でそう返すと、トガちゃんは一瞬きょとんとして「そういえば言ってませんでした」と言う。
あ、教えてくれないんじゃなくて忘れてたんだ？！
なんて驚いた。
「賭けの内容はですね、荼毘くんに変身した私にAちゃんが気づくかどうかです」
「え、それつまり荼毘くんは気付かないに賭けたってこと？」
「…そこは秘密です！本人に聞いてみてください！」
本人に底を確認するのが一番厳しい事をこの子はわかっているのだろうか。
なるべく人が少ない道を通り、最後は路地裏へ入り込んでそこからアジトまで。
ガチャリとドアを開けると、二人が待っていましたと言わんばかりにこちらへ顔を向けた。
「お。きたきた」
「結果は？」
カウンターで腰かけている時点で絵になっているのに、入った瞬間綺麗な蒼眼に見つめられてはきゅんとしてしまう。
「ぁ、ぁっ…」
「あ゛？」
「荼毘くん……好き！！！」
堪えきれずに荼毘くんに抱き着こうとすると、やはりさらりと躱されてしまう。が、私だって日々学ぶのだ。
躱されたタイミングで半転して彼の背中へ抱き着いた。
後ろから来るとは思わなかったのだろう、少しよろめいて小さく「ぅおっ」と声が漏れていた。カワイイ。
「荼毘くん！♡」
良い匂いがして尚更きゅんとしていると、荼毘くんの表情に気付く。
絶対零度を思わせる程に冷たい視線、さすがの私もゾっとして、パッと荼毘くんを離した後こう言った。
「ごめんね荼毘きゅん」
「煽ってンのか」
「噛んだだけですごめんなさい」
90度に腰を折って謝罪する。
私を一見した荼毘くんはそのままトガちゃんの方へ向かっていった。
「結果はですね、弔くんの勝ちです」
「あ？」
はっwと笑う弔くんと、ムスッとした荼毘くん。
「Aの事信用しすぎじゃねぇの？」
「俺は情に厚い男なんだよ」
私のわからない会話が進んでいく。
「あの…」
「なんだ」
「結局、賭けって何だったの？私が変身したトガちゃんに気付くかどうかっていうのは聞いたけど、どっちがどっちに賭けたか聞いてなくて…」
言葉の途中まで、言ってないのか？とトガちゃんを一度見やっていた弔くんが最後の言葉にそう言う事かと納得した顔をした
「俺も荼毘も、気づくに賭けた。」
「…はい？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 350人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
m(プロフ) - コメント失礼します。どちらのエンドも作ってくださるとは本当に有難いです。これから、更新再開にワクワクした気持ちで待つのが楽しみです。これからも心より応援しております。この作品を作ってくださり、読者のことを考えてくださり、本当にありがとうございます。 (2023年2月10日 21時) (
レス) @page36 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
どこぞのオタク - ぅぴゃぁ 尊い (2023年1月22日 17時) (レス) @page25 id: 625a6655ea (このIDを非表示/違反報告)
モブZ(プロフ) - 話の内容や主人公の性格性とか荼毘の言動とかめっちゃ好きです！更新頑張って下さい！ (2023年1月22日 2時) (レス) @page24 id: 4e3074e3cf (このIDを非表示/違反報告)
燈 - 社畜に年末年始など無いのです。更新遅くてすみません、気長に待って楽しんでいただけたら幸いです。コメントありがとうございます。励みになります。 (2022年12月28日 14時) (レス) id: 9e19da6f1a (このIDを非表示/違反報告)
かもめさ - 最高すぎます…！！！もう好きでしかないです。更新を楽しみにしています！！！ (2022年12月21日 11時) (レス) id: 41ebbd34c2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：燈 | 作成日時：2022年12月7日 11時
