漆 ページ16
｢ねぇ荼毘くん、何で今日は私の所に来てくれたの？｣
｢……｣
｢無視は泣いちゃう｣
視線はこっちに向けてくれたから、無視ではないか。
あの後、ゲームに1戦だけ付き合って帰るということで決着がついた。
自宅へワープした後、荼毘くんはただ黙ってソファへ座るだけで何も言わない。
｢えーと……今日、何か用事あったんだよ、ね？｣
あわよくばこのまま泊まっていって良いんだよ。
荼毘くんと添い寝、荼毘くんとお風呂、荼毘くんとご飯…………
妄想に気を取られていると、荼毘くんが口を開いた。
｢用済んだから帰る。じゃあな｣
｢え｣
ソファから立ち上がり、本当に帰ろうとする荼毘くん。
いやいや勿体ないってせっかくのチャンスなのに！荼毘くんとあれやこれや出来そうなのに！！！
｢いや待って、ねぇ荼毘くん今日泊まって行ってよ｣
｢変態の家に泊まったら俺の貞操が危ねェだろうが｣
｢いや流石にそんな事しな……いとは言えないけど…しないから！｣
｢言えねェってボソッと言った時点で説得力ねェんだよ｣
これは引き留めるの無理か…
｢じゃあ、帰る前にこれだけ。用事って何だったの？｣
｢…………明日には分かるかもな｣
｢？｣
すれ違いざまにポンと頭を撫でて、荼毘くんが帰っていった。
なんで今日はこんなに甘いんだ……？
顔に集まる熱と幸せな気持ちに思考がドロドロと溶けた。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
俺がAの家に行った時、彼奴は寝ていた。
何となくベッドサイドにある椅子に座って彼奴を見た。
意識が少しぼんやりとして、走馬灯のように過去の景色と思考が巡る。
目を醒ますと彼奴はうなされていて。
昔の景色と夢の熱に浮かされて俺らしからぬ行動を取った自覚はあった。
黒霧の個性でいきなり呼ばれた時は腹が立ったが、リーダーと話しながらも俺を見つめているAを見ると優越感を覚えた。
リーダーが彼奴を気に入っている事が分かっているからかもしれない。
まだ消えない熱に苦虫を噛み潰したような顔をしてると、彼奴はワタワタと慌て出す。
彼奴の家へ戻ると、俺は気づかれないよう用事を済ませてソファへ腰を下ろす。
さて、この後どうするか。
新たな仲間を探すのも良いし、もう今日は休むというのも有りだ。
声を掛けられて視線を向けると、喉が渇いた。
この女を殺したい、そんな渇きだ。まだ、時じゃない。
此奴を殺すのは、俺が死に行くその時だ。
時が来るまで、そんなに時間はかからないだろうから。
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m(プロフ) - コメント失礼します。どちらのエンドも作ってくださるとは本当に有難いです。これから、更新再開にワクワクした気持ちで待つのが楽しみです。これからも心より応援しております。この作品を作ってくださり、読者のことを考えてくださり、本当にありがとうございます。 (2023年2月10日 21時) (
レス) @page36 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
どこぞのオタク - ぅぴゃぁ 尊い (2023年1月22日 17時) (レス) @page25 id: 625a6655ea (このIDを非表示/違反報告)
モブZ(プロフ) - 話の内容や主人公の性格性とか荼毘の言動とかめっちゃ好きです！更新頑張って下さい！ (2023年1月22日 2時) (レス) @page24 id: 4e3074e3cf (このIDを非表示/違反報告)
燈 - 社畜に年末年始など無いのです。更新遅くてすみません、気長に待って楽しんでいただけたら幸いです。コメントありがとうございます。励みになります。 (2022年12月28日 14時) (レス) id: 9e19da6f1a (このIDを非表示/違反報告)
かもめさ - 最高すぎます…！！！もう好きでしかないです。更新を楽しみにしています！！！ (2022年12月21日 11時) (レス) id: 41ebbd34c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：燈 | 作成日時：2022年12月7日 11時
