ある日目が覚めたら、くるん兄弟の幼馴染になってました〜芋兄弟の真ん中なんて聞いてません〜 (ページ10)

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＊9話　違和感＊ページ10

それから、私は4人にこの体の持ち主のことを聞いた。

A・バイルシュミット。22歳の大学4年生。ドイツ出身。ギルの双子の妹で、ルートの姉。両親は幼い頃に他界しており、女嫌いの叔父が養父として面倒を見てくれていたようだ。実家には3匹の犬がいるらしい。

世界W大学の医学部に所属していて、子どもの頃から医者になることが夢だったという。

趣味は筋トレとピアノで、アルバイトは家庭教師とバーやイベントのピアノ演奏をしているらしい。

…話を聞くうちに、驚いた。

私も子どもの頃から医者になりたくて、医学部に進学していたから。ピアノも幼い頃から習っていた。

それに、名前がA。日本人である私と同じ名前。

偶然と考えるには重なる要素が多くて、空恐ろしくなった。

…いや。まだ夢である可能性も残ってる。

心を落ち着けるかのように、手付かずのまますっかり冷え切ってしまったミルクティーをひとくち飲む。

そして、内心を悟られないように、4人に笑顔を向けた。

「教えてくれてありがとう。まだ思い出せないけれど、思い出せるように頑張ってみるね」

フェリちゃんとルートは気遣わしげな目で私を見たが、ロヴィはぷいっとそっぽを向き、ギルは観察するかのように私をじっと見ていた。