ある日目が覚めたら、くるん兄弟の幼馴染になってました〜芋兄弟の真ん中なんて聞いてません〜 (ページ8)

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＊7話　現実だったら＊ページ8

「姉さん！！」

「A！！」

『世界W大学』と書かれてある正門は、大きくて歴史がありそうだ。そんな正門の前で待っていたのは、ルートとギルだった。

「わわっ」

2人に勢いよく抱きしめられた。2人とも力が強くて、苦しい。

「良かった、話せるようになったんだな…」

「は、話せるって…？」

「昨日のお前、魂が抜けたみたいだったんだぜ。さっき、フェリシアーノちゃんとお兄様から連絡もらったんだ。会えるのを待ってたぜ」

2人の声が震えていることに気付き、私も2人をギュッと抱きしめ返した。

2人ともムキムキで硬いが、一応潰さないように力加減をして抱きしめてくれているらしい。

暫く熱い抱擁を交わしていると、フェリちゃんが声をかけてきた。

「話があるんだ。Aのことで。落ち着いて話せる所に移動しよう？」

その言葉に、私達は大学内のカフェへと向かうことになったのだった。

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カフェへ入り飲み物を注文した後、ロヴィとフェリちゃんが、ギルとルートに私の状態を説明してくれた。

「…つまり、ねえさ…姉貴は記憶喪失ということか…？」

「…うん。誰かは分かるんだけど、自分との関係とか思い出とかを忘れてしまったの」

だんだんこれが夢なのか現実なのかが分からなくなってきた。

ロヴィとフェリちゃんの話を聞きながら、もしかしたら私は元からこの世界にいたのかもしれない…と思い始めて、いや、そんなはずはない、と否定することを繰り返している。

だって、いまだに目が醒めない。色も音も匂いも光も、全て鮮明でまるで現実みたいだ。

もし、ここが現実だったとしたら？

今流行りの転生とか憑依とかだったら…？

そんな考えが浮かんできて、徐々に背筋が凍っていく。

確かに、推しがいる世界、とても幸せだと思う。推しと同じ空気が吸えて、推しと話せて、これ以上の幸せはないのかもしれない。

でも、私が生きていたのは別の世界で。

大切な家族だって、友人だっていた。どうしてもなりたい将来の夢もあった。

もしこれが現実なのだとしたら…

もう戻れないのだろうか。家族や友人に別れさえ告げられないのだろうか。

それに、この体の元の持ち主はどこに行ってしまったのだろう。

偶然にも私と同じ名前のこの体の持ち主は…。