ある日目が覚めたら、くるん兄弟の幼馴染になってました〜芋兄弟の真ん中なんて聞いてません〜 (ページ3)

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＊2話　明晰夢？＊ページ3

…楽園はここにあったのね…。

思わず昇天しかけるが、いけない。確かにここはまさに"楽園やんなぁ"と言うに相応しい場所だが、悲しいかな、現実であるはずがない。

自身の頬をつねろうと、手を動かそうとしたが、動かなかった。

なぜなら、

「ふ、ふぉぉ…イタちゃんとロマに腕抱かれてる…」

から。手に当たる感触は意外にも硬く、2人が男の子であることが良く分かる。腕から伝わる体温がとてもぬくい。

夢ならば、もう少しこのままでいても良いのでは…？

むしろ、満喫しなければ夢に失礼なのでは…？

よく分からない考えが頭を過ったが、あることを思い出し、ぶんぶんと頭を横に振る。

だめだ。今日は必修科目の試験日だ。

こんな幸せな夢から醒めなければいけないなんて辛いが、自身の将来が、夢が懸かっている。

意を決してそろりそろりと両手を動かしていく。多少乱暴に動かしても、2人なら起きないと思うが…勢い余って腕を抜いて、推しの顔面にぶち当たったら自分自身が許せないので、恐る恐る抜いていく。

無事に腕を抜き、上体を起こす。この期に及んでまだ躊躇しているのだ、夢から醒めることに。

最後に、と、ロマとイタちゃんの頬をツンツン突く。柔らかい。可愛い。ロマが眉を顰め身を捩ったが、その表情も仕草も可愛い。

それにしても、リアルな夢だ。感触もしっかりしているし、体温も感じるし、匂いもする。

目に映る景色は鮮やかで、いつも見る夢とは全く違う。

「明晰夢ってやつかな？」

夢であることを認識していて、自由に行動ができる。そんな夢を明晰夢というらしい。

明晰夢から醒める方法など知らないため、とりあえず頬をつねってみることにする。

…痛い。痛みまでリアルに感じるなんて、ますます不思議な夢だ。

にしても、頬をつねっても起きないなんて。

私はどれだけ疲れていたのだろう？普段なら割とスッと目が覚めるのにな。

うーん、と俯いた時、ぱさりと髪が視界に入ってきた。