＊12話 兄弟愛＊ ページ13
それから、親分には"私"との関係を聞いた。
私達は友人らしい。
まぁ、ロヴィとフェリちゃんとは幼馴染なのだから、親分も似たようなものなのだろう。
「ま、AはAや。俺のダチに違いないから、困ったら頼りぃ！」
「うん、ありがとう」
親分とはそこで別れた。
AはA、か。違うのにな。私はこの体の持ち主ではないから。
モヤモヤした気持ちを抱えたまま、次の講義へと向かったのだった。
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講義を全て受け終えると、タイミングを見計らったかのように、ルートが講義室まで迎えに来てくれた。
「姉貴、帰ろう」
「うん。迎えに来てくれてありがとう」
そう言うと、ルートは照れたように頬を掻いた。
大学から出て、石畳みの街を歩く。大学から出たからか、ルートの口調が僅かに気安くなった。
「不思議だな。姉さんの世話を焼いているなんて」
「そうなの？」
「あぁ。姉さんは兄さんとは違っていつも真面目だからな。少々理想が高いが、その理想を実現できるよう努力を怠らない人だ」
「尊敬してるんだね」
「なっ！？べ、別にそういうわけではないが…」
おぉ、貴重なムキデレだ。可愛いなぁ。
私が本物の姉のAなら、頭を撫でるんだけどな。
チクリと痛んだ胸に気付かないふりをし、話題を変える。
「そういえば、私のスマホのパスコード知らない？」
カバンの中からスマホを取り出し、ルートに見せる。
待ち受けはギルとルート。ギルがルートに肩を組んで、ルートはそんなギルに呆れながらも優しい表情をしている。
「姉さんのスマホのパスコードは知らないが…なんだ？この写真は。いつの間に撮ったんだ」
「さぁ…。んー、こんなに仲良しなんだったら、スマホのパスコードは兄弟の誕生日とかかな？」
「姉さんがそんな単純な設定にするだろうか？」
「それもそうね…」
もう、顔認証か指紋認証だったら良かったのに。
人のスマホを勝手に覗くのは悪いような気がするが、今は火急の事態。もしかしたらスマホに何か残っているかもしれないし。
4桁か…適当に打てば開くような気もするが、ロックがかかって何時間も開けなくなるのは困る。
しかも、何回も間違えたら初期化されるみたいだし…。
家に何かヒントがあればいいなぁ。
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作者名：ami☆
| 作成日時：2024年3月23日 23時
