屋上 ページ7
今日は特に話すこともなかったのでスマホで音楽を聴いていた。
暇をつぶす時は大体音楽をきく。
そうするとなんだか安心するし、辛い記憶が薄れていくような気がするから。
「何聞いてるの？」
「ボカロ」
「ボカロかぁ、どんな曲？」
「え…うーん…ロックみたいな感じの…それでもってちょっとテンポの速い曲？かな？」
「私も聞いてみたい」
片方のイヤホンを外してAに渡す。
Aがぐっと僕に近づいてイヤホンを耳にはめたところで曲を最初から戻して再生する。
「…すごい早いね、これ。
まふくん歌える？」
「歌えるよ。
…辛い時とか、ずっと聞いてたから。
自然に歌詞とか覚えた」
特別覚えたかったから覚えたというわけでもなくて、毎日のようにこれを聞いてたら自然と歌詞や音程を覚えていた。
気づいたらこの歌を鼻歌で歌っていることもあって、お母さんやお父さんに「真冬は本当にその曲好きだね」と言われるのも日課になっていた。
「まふくんの歌声、聞いてみたい！」
「えー…うまくないよ」
「絶対うまい！
だってまふくん地声が普通の男子より高いから、きっとこの歌も完璧に歌える！
ね、だから歌ってみて？」
「音痴すぎて幻滅しても知らないからね」
「しないもん」
頑として譲らない彼女にため息をついて歌い始める。
静かな屋上に、僕の歌声だけが聞こえる。
人一倍高い声、ずっとこの声のせいでいじめられてきた。
今ではもうどうでもよくなってきたけど。
「…どう？うまくないでしょ」
歌い終わって、Aを見るとAは俯いてプルプルと震えていた。
ほらね、幻滅してる。
期待されても僕はその期待に応えられたことはなかったから。
今も同じ。前と変わらない。
「す…」
「す？」
「すっ…ごい…よかった…！！！」
「…はぇ？」
予想外の返答になんともアホな声が出た。
「さっき聞いただけだけど、音程もちゃんとあってたし自分の声を最大限に活かした使い方で、すっごいよかった！
それとラスサビの高音！
どうやったらあんな高い音出るの？
私じゃ出ないよ。
すごいね、まふくんは。
私にないものをたくさん持ってる。だから、その声も、その歌も！全部誇りに思っていいと思う！いや、思うべきだよ！」
「あ、ありがとう…？」
…こんなに褒められたの、初めてだ。…本当、なんでこんないい子が僕なんかに構ってるんだろう。
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うー(プロフ) - ももんがさん» ありがとうございます…！！いやもうありがとうだけじゃ足りない… (2019年8月14日 12時) (
レス) id: e19a932eed (このIDを非表示/違反報告)
ももんが(プロフ) - 涙が止まらなかったです！最高に面白かったです！ (2019年8月14日 11時) (レス) id: 5f1c65421c (このIDを非表示/違反報告)
うー(プロフ) - 桜さん» これ読んでくれたんですか…！！ありがとうございます！ (2019年8月4日 12時) (レス) id: e19a932eed (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 涙が出てしまいました！ (2019年8月4日 5時) (レス) id: 6f752fa416 (このIDを非表示/違反報告)
うー(プロフ) - おーさんさん» いやもう本当にありがたい…… (2019年7月31日 8時) (レス) id: e19a932eed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うー | 作成日時：2019年5月6日 10時
