屋上 ページ5
案の定、お母さんに心配された。
まぁ滅多に泣かない僕が泣いた跡つけて帰って来たんだもんね、そりゃびっくりするよ。
でも死のうとしてたなんて言えないからまた嘘ついた。
ごめんね、お母さん。
僕、いつからこんな嘘つきになったんだろ。
「…った…
また足中心的に狙いやがって…
骨折したら慰謝料払えよ…」
階段に登るたびに痛む足を抑えながら屋上のドアを開ける。
ギィィ、と派手な音がして立て付けの悪いドアを閉めて屋上からの景色を眺める。
前までは綺麗だと思ってた景色も、今ではなんとも思わない。
「今日はちょっと早いんだね」
景色を眺めていると後ろから聞こえた鈴の鳴るような声。
「うん。
今日は殴られただけだったから」
「そっか。
…どこ、殴られたか聞いていい？
だいたい見当はつくけど」
「足。
骨折して歩けなくなったらどうするんだか。
…ま、それで学校行けなくなったら嬉しいんだけどね」
「言い方が皮肉ってるなぁ…」
「ごめんね、皮肉で。
元からこんな性格なもんで」
ふふ、と笑ってAは僕の隣に立った。
…見えないところを殴られているとはいえ、見たらすぐにわかるくらいに僕は足を引きずっていた。
「…足、大丈夫？」
「全然。ちぎりたいくらい痛い」
「ちぎってあげようか」
「その方が痛いから遠慮するよ」
周りからすれば僕たちの会話は残酷で、僕たちの関係は奇妙なものだろう。
普通、足ちぎりたいくらい痛いなんて表現使わないし。
でも無理して’綺麗’な言葉を使うより、ちょっと皮肉ってる方が僕たちには合ってる。
「あーあ、人のこと殴って何が楽しいんだか」
「結局はストレスのはけ口でしかないんだよ。
いじめられる人間の扱いなんてそんなもん」
「死ぬときには呪ってやろ」
「ふ、それいいね。
藁人形とか使っちゃう？」
「古っ」
「古いは余計です〜」
不思議なことに、昨日初めて会ったAの前では素の自分でいられる。
本当の僕のまま、笑える。
嘘をつかないでいい。
「いつ死のうか」
「時間決めとこ。夜だったら発見が遅くなるから夕方ね」
「あ、だったら今日はもう遅いね。もう暗いや。さっきまで明るかったのに」
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レス)
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