【国見英】つめこみ短編集 (ページ2)

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「はい！これなら持ってたよ」
「え、マジ？俺塩キャラメルめっちゃ好きなんだよねー」
そう言って国見くんは目を輝かせた。今まで見た中で1番目に生気が宿っている。そんなに好きなのか、と感心する。小腹が空いた時用に私はいつも塩キャラメルを常備しているのだ。
「ま、俺も常備してるんだけどね」
そう言って彼は私が持っているのとは異なるパッケージの塩キャラメルをカバンから取り出した。
「え、国見くんも塩キャラメル好きなんだー！」
「うん、でもこれは食べたことないから嬉しい、ありがと」
1粒の塩キャラメルを受け取り、にこにこと嬉しそうな国見くん。ちょっと可愛いかも。
「あ、でもごめんね……こんなんじゃチョコ数には貢献出来ないよね……」
私がそう言うと、国見くんは頭にクエスチョンマークを浮かべている。
「チョコ数？」
「うん。部活の人とかともらったチョコの数競ってる感じでしょ？」
「いや、そういう訳じゃなかったんだけど」
彼は真剣な顔をして続ける。
「Aからのが欲しかったんだよね」
突然そんな風に言われ、「え？え？」と私があたふたしていると、真剣な表情から一転、国見くんは急に吹き出して笑いだした。
「はは、冗談だけどね」
そう言いながらにやりと笑い、「何か期待した？」と意地悪く聞いてくる彼。
「べ、別に何も……！」
必死に誤魔化そうとする私を見て、彼はやはりにやにやと笑っている。
「ホワイトデー、期待しててね」
そう言って彼は席を立ち上がり、近くの男子と「そういえば明日の試験範囲だけど……」と別の話を始めてしまった。
隣の席の彼は、やはり何を考えているか全く分からない。