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4年前……一目惚れ黒蝕竜―3― ページ14

禍々しい布で目を隠した青年は、鱗粉を周囲にばらまく。
そして、Aの存在を確認すると迷いなくAの方へ歩く。

胴体を鷲掴むような爪の装飾のついたマントが揺れる。
飾り気のないボディスーツとロングブーツ…と、少し危うい服装。
狂竜化の時の角みたいなインテークのショートヘア。

青年はAの前に立つ。
小さい。
小さいのに、さっきよりは小さいように見えない。
それに、轟竜が居たハズなのに…大きな人間が居る。

人になってしまった黒蝕竜の鱗粉は、元轟竜を人だと認識していた。

青年は黙ってAを抱きしめる。
それなりの体格の男性だから、少しAの体がよろける。

「………あたたかい。」

その口から出た言葉。
とても暖かく、良い匂い。小さくて、とても柔らかくて。
まるで自分が小さくなった気分だ。
まるで自分が人間になった感じだ。


「ねぇ、ちょっと良いかな?」
「……あ…。」

彼から話しかけてくれたっ。
自分の耳元に響く、幼さを残した男の声。

「少し、話がしたいんだけど…ついてきてくれる??」
「…ついて、いく。」

自分の口から自然と出てくる、“人間の言葉”。
あまりにも自然で自分が自分じゃないみたいだ。

彼の手が自分の手をしっかり握ってくれる。
優しく握り返すと、彼は歩き始めた。自分も足を動かす。


―――――
―――。


ベースキャンプ――。


Aは人になった黒蝕竜をベッドに座らせる。
そして深呼吸。自分をまず、落ちつかせないと。

「質問…していい?」
「了承、なんでも、聞いて。」
「自分の事分かる?」
「……人間の、言う、黒蝕竜……ゴア・マガラ。」

よし、自分の事は分かるみたい。

「僕の名前はA。A・カガジョウ。
 僕の後ろに居るのがティガ…えっと、ティガレックスなんだけど……認識してる?」
「できている、続けて。」

やはり、彼の――Aの後ろに居るのは轟竜か。
匂いが、纏うオーラが、同じだった。

「じゃあ、君はこれからどうするの?
 もう竜には戻れないし、君を成体にさせる事もできないけど…。」
「Aの、そばに、いる。
 ずっと、ずっと…死ぬまで、Aの、そばに。」

堂々、ストーカー宣言である。

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ハガネ - ジンオウガさん» 掛け持ちしてる小説を更新しきったら番外編として10話くらいのものを作る予定です。 (2017年7月7日 16時) (レス) id: f787dc505e (このIDを非表示/違反報告)
ジンオウガ - はぁぁ・・・ゴアが可愛すぎる・・!べつのモンス達で書いてほしいです!続編是非出してください!ガンバッテ!! (2017年6月23日 19時) (レス) id: c079756c28 (このIDを非表示/違反報告)
ハムたろう - 凄く面白くていい小説なので、続編出してください!期待してます!! (2016年11月7日 22時) (レス) id: 50fbefea6c (このIDを非表示/違反報告)
ハガネ - 蛙傘さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります。 (2016年7月16日 18時) (レス) id: f1d6272781 (このIDを非表示/違反報告)
蛙傘(プロフ) - も、モンスター達が人間に...!可愛いですね!!更新頑張って下さい!! (2016年7月6日 21時) (レス) id: 5b187140e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハガネ | 作者ホームページ:('ω')ノ  
作成日時:2016年4月26日 18時

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