５８ ページ10
「Aさん」
「ん？」
「今日、全然話せなかったね。」
「やっぱり一人での対応はまだ慣れなくて、ね。
バタバタだったよー…。」
自分の意識がそうさせたのに、仕事の所為にして目黒くんに嘘を吐いた。
「俺のこと避けてんのかなって思ったけど、今日会ってくれたから忘れるわ。」
「違うの、目黒くんは何も、悪くないの。」
「…そっか。ならいっか。」
そう言って目黒くんは優しく微笑んだ。
自分の気持ちはストレートに伝えるのに、私が何を考えてるのか深く聞いてこないのは、彼なりの優しさなんだと思う。
そんな優しさに触れたら、ちゃんと自分の気持ちを話したくなった。
「目黒くん」
「ん？」
「ごめんね。」
「え、なんで？」
「私、嘘吐いてた。」
「うん、聞くよ。」
「本当は、今日会おうって言ってくれた時嬉しかったの。
でも、今は一歩踏み出すのが怖い気持ちの方が大きくて、目黒くんに会っちゃったら引き返せなくなりそうで。
今まで感じたこともなかったような感情がいっぱいで、どうしたらいいか分からなくなってて…。」
「ん、話してくれてありがと。」
「勝手に遠ざけててごめん、ね。」
「んーん、理由分かったから安心した。
それより、Aさん一人で悩みすぎ。」
「そんな一人で考えたって、答え出なくね？
俺のこと悪く思ってないんなら、いっぱい会って、いっぱい話そうよ。
じゃなきゃ、踏み出すも踏み出さないも決まらないっしょ。」
「っ…、そうだよね。」
「とりあえず、今日はちゃんと話してくれたから。
ん、これあげる。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 951人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まりも | 作成日時：2021年2月22日 9時
