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「……何を信じればいいのか分からなくて、」
「うん」
「ほんとはあんな記事信じたくないし、きっと事実じゃないって、分かってるんだけど…」
「うん」
耳元で渡辺くんの柔らかい声が聞こえる。
「蓮くんの口からちゃんと聞きたいのに、今までのことが全部嘘だったらって思うと怖くて。」
「…うん」
「…自分の気持ち、はっきりさせなかった罰なのかな」
「……」
「渡辺くんの気持ちにもちゃんと答えを出せてないのに、こんな時に頼って。
……本当にごめん。」
「ほんとはさ、こういう時俺なら泣かせないのにって言えたら格好良いんだけど」
「……」
「俺は、佐藤の気持ちを一番大事にしたいって思う。」
「…渡辺くん」
「だから、ちゃんと目黒と話して、今の気持ちぶつけてこい。」
小さな子供を宥めるように背中をポンポンと優しく叩かれて、身体が離れる。
「……ありがとう。
私一人だったら、きっと逃げ出してた。」
「…無理矢理俺のものにしたい気持ちも10%くらいあったけどな！
まぁ、それじゃ全然意味ねーし。」
「渡辺くんはそんなこと絶対しないって分かってるよ。」
「ふはっ、そんな安心しきっちゃってんのかよ。
全然だめじゃん、俺。」
なんて言いながら、隣でやるせなく笑う渡辺くん。
どこまでも優しい渡辺くんのおかげで、やっと向き合う覚悟が出来た。
こんな私を好きになってくれて、ありがとう。
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作者名：まりも | 作成日時：2021年2月22日 9時
