一枚目 ページ2
___ぱんっ、
とある璃月港の夕刻頃だろうか。誰もが振り向くような女性が住生堂の客卿の頬を引っ叩いていた。
明らかに彼女の方は璃月の民ではなさそうな見た目をして居り、シンプルな白いカッターシャツの襟元に黒いネクタイと、膝下付近まである黒いスカートに青の刺繍が施されて居るもの。
ヒール音を鳴らして、早々と立ち去ろうと彼に背を向けて歩き出そうとするが、彼が其れを止める。
『私の事は死んだモノとして扱うのではなかったのですか?』
「__…すまない。……すまなかった。だが、俺はお前を…!」
言葉の先を紡ごうとした瞬間、彼女は掴まれた手を振り解き、くるり。と彼に顔を向ける。
『お前が其れを言う資格は無いでしょう。私はモンドのモノ、璃月のモノじゃない。』
「…っ、何故アイツなんだ……ッ!」
縋り付く様な顔と声に彼女は冷えた瞳で見つめて鼻で笑い直ぐ目線を逸らす。
『私の姿を自分の前で二度と見せるな、だったか。お望み通りでしょう?何か不満でも。』
彼は普段絶対に見せない様な表情で彼女を見つめて言葉を出そうと口を開くが息が出るだけだった。
『_はぁ。随分と傲慢な神なのね貴方、道の脇に落ちている小石を見るように私にそう当たって居た癖、今更どう言う精神で前に出てきたの、』
「…違う、俺は……」
『知人や友人が自分の前から減って行ってその埋め合わせでも考えて居たのでしょう。他にでも目を向けて居れば良いのでは?』
吐き捨てる様に抗議しようと紡ごうとした彼の言葉を遮るように嫌悪感丸出しな表情と圧でそう伝えた後、消える様に炎に包まれて鍾離の前から消えて行った。
「__あのじいさん。怒りの矛先間違えないと良いんだけど」
と、呑気にモンドのアカツキワイナリーで蒲公英酒を飲み荒らして居る吟遊詩人がぽつり、と酔っ払って騒がしい酒屋に溢した。
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ぱぁ - 自分の好み過ぎて何回も見返してしまいました!!主さんのペースで更新頑張って下さいこれからも応援しています!! (2022年11月2日 1時) (レス) id: d68a7d500c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねこみっち | 作成日時:2022年10月12日 21時