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翌日
空港まで送ってもらうと、松葉づえで搭乗した
貰っていたチケットの座席に着くと、窓側に人が座っていた
「失礼します…」
小声で隣に座った。
え、もしかして佐倉先輩の代役の方かな…
帽子かぶってるし、サングラスしてるし、マスクもしてるからわからない…っ
でも、相手は私の事わかってるかも。
今挨拶しないと、失礼にあたる…!
「あ、あの…間違っていましたらすみません。本日イベントの代役の方でしょうか…?」
窓から外を眺めているそのまま頷いた
「あっおはようございます、本日ご一緒させていただく並木Aです。よろしくお願いします」
座ったまま頭を下げるが、無視された。
不思議に思いながらも、しゃべると気づかれる可能性があるから黙っているのかと、それ以上は話しかけなかった。
到着するまでに数回ため息を聞いたが、それだけでは誰だかわからず…
しばらくすると、眠ってしまっているようだった。
Aは緊張で眠れずに台本を読み込んでいた。
あっという間に着くと、先に降機した。
空港を出ると、振り返ったA
先輩と一緒に行くべきか悩んでいると、隣を通り過ぎて行った。
「あっ」
会場まで少し距離があるため、タクシーで向かうよう言われていた。
先輩を目で追っていると、先にタクシーに乗り込んでいた。
あ…先に行くんだ…
別行動を徹底しているのかな…
少しシュンとして顔を上げると、なぜかタクシーは出発せず停まっている。
後部座席のドアが開いたままだ。
ん…?
何かあったのかと、近づいてみると
「あ、お連れさんですか」
運転手が聞いた。
「え?」
先輩を見ると、頷いていた。
「どうぞお乗り下さい」
「え、私ですか?いいんですか?」
黙って頷いたのを確認して乗り込んだ。
「ありがとうございます」
ペコっと頭を下げるが、やはり無視された。
会場へ到着すると、先輩がカードで支払いを済ませ二人は降りた。
「あの、ありがとうございます!」
下げた頭を上げると、誰もいなかった。
ふと後ろを振り返ると、先輩が会場へ入っていく後ろ姿が。
急いで追いたくても、松葉づえではそうもいかず…
遅れて入ると
「あ、並木Aさんですね!お待ちしておりました!」
「並木Aです、本日はよろしくお願い致します。」
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作者名:のまじゅ♪ | 作成日時:2024年2月25日 13時