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「お前が帰れ」
「俺が残る」
「いや俺が残るから」
先輩の会話を聞きながら目を瞑って俯いていたA
「並木が元気に振る舞ってたから忘れてたけど、今日のことはどれだけ怖かったか、精神面を考えると心配でしょうがない。」
「…」
江口の言葉に、黙った3人
顔を上げたA
「まだ若いけど、誰よりも周りのことを考えて、自分がどれだけ辛くてもそれも見せずに…本当に強いと思う」
Aの隣に立つと、頭をぽんぽんと撫でた江口
「俺らが帰ったら、一人になるけど、考え込むなよ?あんなことがあって、平常心でいるのは大変なことだし…いつもより孤独感が強くなるかもしれない。けど、俺らはいつもお前の味方だし、考えてるから。もし辛くなったら無理して我慢せず連絡しろよ」
「はい…っ」
涙目になりながら笑顔で返事をした
「また明日な」
江口がほほ笑むと、少し赤くなったA
「おやすみ!ちゃんと寝るんだよ」
狩野も手を振って江口に着いて行った。
「また来るねっ」
寺島も出て行くと
「痛みはどうだ?」
「大丈夫です」
「そっか、良かった。じゃあな」
「はい、ありがとうございました」
──
「江口さ〜ん!」
外から狩野の声が聞こえた。
狩野と寺島が江口の部屋へ入っていくのが見えた斉藤、続いて入って行った。
「江口さんすみません」
「何で俺に謝るのよ」
寺島が謝ると、笑った江口
「並木のこと一番考えてるのって江口さんですよね」
「そんなことないよ。皆同じだと思ってる」
狩野の言葉に頷いていた寺島
「さっき並木の表情見た?」
狩野が聞いた
「見ました。江口さんのでしょ」
「そう、並木が江口さんを見る目が」
「悔しいけど、俺でも惚れるもん」
「俺惚れたもん」
寺島と狩野の会話に笑っている江口
「江口さん、並木に何かれば、お願いします。確かに一番近いですし…」
斉藤がそう言うと、帰って行った。
「ここは大人しく江口さんに任せようと思います。」
寺島もそう言うと、出て行った。
「狩野」
「はい」
「俺はお前もまだ許してないよ」
「並木にしたことですよね。これから償っていくので見ていて下さい」
「もう二度と並木みたいな思いする奴を出さないようにしよう…お互いにな」
「はい」
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作者名:のまじゅ♪ | 作成日時:2024年2月25日 13時