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「通り魔だ…」
「通り魔?」
「通り魔に刺されたんだよ!!」
「…っ」
言葉を失った保住
「容体は」
「聞いてません…」
江口の問いに声が震えている斉藤
すると
「ふ…っはは、」
笑い出した保住
「死ねばいいんだ…」
「はぁ?」
「生きてたって、もう俺のこと好きじゃないなら、死んでくれた方が楽だし…っ」
「…」
「あ、違うかぁ…俺のこと覚えてないんだ。俺との記憶、消えちゃったんだよな…」
「おい」
江口が声をかけるが
「俺を踏み台にして声優になったのに。色々教えてあげたのに…盗むだけ盗んで、夢叶えたらポイかよ…俺がしてあげたこと、一つも返してもらってないのに」
「…」
「Aにとって俺はいらない存在だったんだな…俺は…俺、は…うっ」
泣き出した。
病院に着くと、病室へ急いだ
──
「あはは…っ」
病室の中から笑い声が聞こえ驚いた斉藤、ノックをしてドアを開けると
「あ…斉藤先輩、江口先輩も…」
Aがドアの方を見ると、狩野と寺島も視線を移した
「並木、お前…」
太ももに巻かれた包帯と点滴を見た。
「ははは…ちょっと、刺されちゃいまして」
笑っているAを見ると
「良かった…っ、生きてた…」
一番後ろにいた保住が泣き崩れた
「大丈夫ですか?!」
Aがベッドから出ようとすると、寺島が止めた。
「辛いと思うけど、何があったのか説明してくれないか」
斉藤と江口もベッドの周りの椅子に座った
「スタジオを出て歩いていたら、正面から来た女性とぶつかりまして…謝っても女性は見向きもせず去って行ったので、なぜか不思議に思って振り返って見ていたんです。そしたら通りすがりの男性が私を見て驚いた表情をされたので、自分の体を見てみたら太ももにナイフが刺さってまして、その瞬間激痛が…私が倒れたところ、通行人の方が救急車を呼んで下さりました」
「…っ」
「傷は浅かったようで、ナイフが刺さったままだったので出血も少なかったようです。なので私は元気です!今もそんなに痛みはありませんし、」
「…お前のせいだ」
立ち上がり移動すると保住の胸倉を掴んだ斉藤、保住は何もしゃべらない
「今朝並木がXに投稿した文を見たお前のファンがやったに違いない!!お前が自分で訂正しないから、並木に直接被害が及んだ!!全部お前のせいだ!!」
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作者名:のまじゅ♪ | 作成日時:2024年2月25日 13時