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「そうなんですか…」
返してもらった指輪を見つめた。
確かに、江口先輩はこういうのしてなかったかも…
「どうして惇太さんのがAちゃんの部屋にあるの？」
「あ…以前、江口先輩の部屋で３人で飲んだ帰りに、送って頂いて…」
「なるほどねぇ。俺が返しておこうか？」
「はい、お願いします。」
笑顔で指輪を渡した。
「明日は？」
「休みです」
「そっか、じゃあ飲んじゃおう〜」
「はいっ」
土岐に話を聞いてもらい、楽しくなって食事より酒ばかり進んでしまった。
「大丈夫？」
「はい…大丈夫ですぅ、すみません」
頬を赤くさせ、口元が緩んでいるA
「よし、送ってあげるよ。行こうか」
笑顔で頭を撫でると、気持ちよさそうに目を閉じた。
会計を済ませタクシーを停めると、Aを支えて乗り込んだ。
──
ピンポーン…
「いねぇのかよ」
ピンポーン…ピンポン…
連打していると、エレベータの音がして移動した。
「あ…」
斉藤を見て聞こえない程小さく舌打ちした土岐。
「お疲れ様です。どうしたんですか、それ」
背負っていたAを指さした
「あはは…酔いつぶれちゃったみたいでね」
「送ってくれたんですね」
「ああ、うん。壮馬は？」
「こいつに用があって来たんです」
「そうなんだ。じゃ、後は任せていい？」
「わかりました。あ…」
「ん？」
「他に用はないんですか？」
「え、用って？」
「や…何でもないです。それじゃお疲れ様でした」
Aを預かり、土岐がエレベータに乗るのを見送った。
「危機感無しかよ…」
そう呟くと
「おい、鍵は」
「…」
「おい！」
軽くゆすると、目を開けた。
「お前さぁ」
「あ…お疲れ様です」
「…お疲れ。んで鍵は」
「鍵…？」
「鍵」
「鍵…」
「…寝てんじゃねぇよ」
軽く頭を叩くと、再び目を開けた
「重いから、早く鍵開けて」
「はい…」
ポケットから鍵を取り出すと、斉藤に渡した。
ため息をついて鍵を開けると、中へ入っていった。
Aをソファにおろした
「あのさ」
「…」
「おい聞いてんのか」
「ふい」
「今朝の指輪だけど」
「ふぅ」
「もう一回見せて」
黙って首を横に振ったA
「何でだよ」
「も…無いです」
「無いって何で。江口さんに返したの？」
またゆっくり首を振った。
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作者名：のまじゅ♪ | 作成日時：2023年10月31日 19時
