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「すみません、並木さんいらっしゃいますか?」
「あっやば!!」
時計を見た佐倉が叫ぶと、腕を掴んで廊下へ出た。
「すみません、お返しします!!」
Aを差し出すと、スタッフが腕を引いて連れて行った。
「ふぅ…すっかり時間忘れて話しこんじゃったわ」
楽屋へ戻った佐倉
「あ…ライン聞くの忘れた」
──
全ての収録を終え廊下を歩いていると、
「あーっ!見つけた!」
正面からの声に顔を上げると、土岐が。
「あっお疲れ様です!」
「ちょっと来て!」
腕を引かれ歩き出した。
「ねぇ」
「はい…?」
楽屋の中へ入り振り向いた土岐。
「今日こそは、俺に時間くれない?」
「時間、ですか…?」
「二人でご飯行こうって誘ったでしょ?」
「ああ!はい、」
「そろそろ行けないかなーって…思ってたんだけど…ね?」
「すみません、こちらからお声かけ出来なくて…」
「んーや、それはいいんだよ。だからね、行かない?今夜」
「はい、ぜひお願いします!」
「はぁ〜良かったぁ。あ、この後も収録あるよね?」
「はい」
「じゃあ終わったら待ち合わせしよう。連絡して?」
「わかりました」
「それじゃ、またあとで」
楽屋を出てスタジオへ戻った。
リハを行いながらゲストを待っていた。
数分後、ゲストを迎え収録が始まった。
──
終了後
「お疲れ様でした!」
「お疲れ様ぁ。ありがとうね」
「こちらこそありがとうございました!」
スタジオを出て土岐へ連絡し待ち合わせした場所へ急いだ。
店に入ると
「あ、Aちゃん」
手を上げて笑顔で迎えてくれた。
「お疲れ様です」
「お疲れ様。忙しくなってきたね」
「はい、まだまだですが…お陰様で、」
「良かった。」
カバンからハンカチを取り出すと、指輪が落ちた。
ころころと転がり、土岐の足元に。
「あ…」
「すみません、ありがとうございます」
拾ってくれた土岐、その指輪を近くで見た。
「これ、Aちゃんの?」
「いえ、たぶん江口先輩のかと…」
「何で持ってるの?」
「部屋に忘れて行ったのかと思います。今朝リビングに落ちていたんです」
「そっか。でもそれ、江口さんのじゃないね」
「え…?」
「それ、惇太さんのだよ」
「じゅ…寺島先輩ですか?」
「うん」
飲み物が届いて一口飲んだ土岐。
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作者名:のまじゅ♪ | 作成日時:2023年10月31日 19時