16-4 ページ44
_
「本当にごめんね。許してくれる?」
「……」
甘ったるい言い方。
あの日のことが一気に蘇る。
唇に触れたA
…傷はまだ癒えてない。
「どうしても悔しくて。俺が先輩たちにやられたこと、Aにも同じことをすれば伝わると思って…でも、俺が間違ってた。Aは先輩たちに脅されて、俺を呼び出した。Aは望んでないのに、言葉巧みに俺たちを別れさそうとした。そうだよね?」
「…」
「でも俺がここまでするのは、Aを一番に愛してるからなんだよ?それはわかってほしい、本当に。」
「…わかりました」
目を瞑って早く終われと願った。
「今から会える?」
「すみませんもう寝るので」
「A何で敬語なの?」
「え…」
それは、もう関係が終わったと思っていたから…
「なんか寂しい。前みたいに話してほしい」
「…わかった。」
「もう寝るんだね。じゃ明日は?会えるよね?」
「……」
「もちろん仕事終わった後でね」
「や、あの…」
「昨日江口さんち泊まったよね」
「っ、いえ」
ラインのメッセージが届いた。
「見てみて」
「…」
メッセージを開くと、写真だった。
「…っ」
驚いて口元を手で覆った。
「有哉くんが撮ったの?!」
写真には今朝江口の部屋から出てきた二人が写っていた。
「そう!そうなの〜」
「…っ」
「朝会いに行ったらいなかったから、外で待ってたら見えてさぁ。うまく撮れて良かったよ」
「……」
「嘘つかないでよ〜もう、俺が江口さんの部屋まで行った時も居留守使っちゃってさぁ?」
高笑いしている保住
「可愛いんだからぁ。…何も無いよね?」
「何が」
「えぇ?江口さんと、ヤっちゃったり…してないよね?」
「…」
「ん?」
声のトーンが下がった事にドキッとした。
「何もない…あるわけないでしょ。江口先輩は、好意で泊めてくれただけで、そんな気持ちは」
「わからないでしょ。男なんだから。なんか俺と付き合ってもっと太っちゃってさぁ、浮気の心配とかしたことなかったんだけど、初めて嫉妬しちゃったよねぇ」
「…あの、写真は」
「ああ大丈夫!別に売ったりしないよ。とにかく、明日行くからね?」
「わかった。…おやすみ」
返事も聞かず切ってしまった。
はぁ…
_
58人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:のまじゅ♪ | 作成日時:2023年10月31日 19時