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「泊っていってもいいよ。近いんだから、朝帰っても間に合うだろうし」
「いえ、それはご迷惑をおかけしてしまうので」
「いいって。今の並木を一人にする方が心配だし」
「本当にいいんですか…？」
「いいよ。そんな遠慮しないで」
「ありがとうございます」
ペコっと頭を下げると、コートのポケットからスマホが落ちた。
拾って画面を確認するAの顔色が曇った。
「風呂入れてくる」
「あ…はい、」
スマホを閉じカバンにしまった。
あ…そうだ、明日の台本確認しておこう
台本を取り出し、読んでいると
「練習相手になろうか」
そう言って台本を手にした。
「お願いしますっ！」
それから江口と合わせていると、自然に笑顔が戻ってきていた。
風呂が沸き、先に入浴させていただくことに。
家が同じだけに、説明は不要だがタオルと着替えだけ渡してリビングへ戻った江口。
ソファに腰かけると、スマホが気になりすぐ立った。
Aのコートのポケットを探るが、ない。
カバンを見ると、スマホがはみ出ていた。
すぐ手に取ると、画面を見て絶句した。
着信が60件以上
メッセージは100件以上あった。
これ以上は見てはいけないと思い、スマホをカバンへ戻した。
「はぁ…」
ため息をつきながらソファに腰をおろし、頭の後ろで手を組んで考えた。
あの日保住が俺らと会ってから、そう簡単に引くとは思ってなかったけど…
壮馬の脅しも無駄だったってことか？
もしかして並木はひどい目にあっていて、それを黙って一人で抱えてるとか…
うわあ考えると切りないな
ずっと考えていると、廊下からドアがしまる音がした。
ふと時計を見ると、23時を回っていた。
「お風呂お先にいただきました。ありがとうございました」
頭にタオルを巻いて出てきたAを見て笑った。
「え…」
「うはは、はぁ、ごめん、なんか可愛くて」
涙を拭い立ち上がると、目の前まで来た。
「あの、ドライヤーをお借りしても良いでしょうか…？」
「あ！ドライヤーね、ちょっと待ってて」
「はい」
タオルをほどき髪を拭いていると、すぐに持ってきた。
「ありがとうございます。」
「じゃ俺も行って来るから、待っててね」
「はい。行ってらっしゃいませ。」
「…ふふっ、ははは…っ」
何故か笑いながら行ってしまった江口に、首を傾げた。
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作者名：のまじゅ♪ | 作成日時：2023年10月31日 19時
