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涙でぐちゃぐちゃになった目を見て“もう大丈夫だよ”
そう声をかけた。
「見せて」
マスクを外そうとすると、とっさにその手を掴んだA
「大丈夫です…すみません」
「何が大丈夫なの。いいから見せて」
黙って首を振ったA
「嫌がってるので、やめておいた方がいいですよ」
「お前がやったの？」
立ち上がって土岐の方を向いた。
「どうしてそうなるんですか」
「だって俺が来たらこうなってたから」
「違います。俺が来た時、彼氏が出て行って」
「並木さんは彼氏いないよ」
「…」
「何があったの」
全てを説明した土岐。
それを聞いてAの前に座った。
「聞かれたくないなら、もう聞かない。でも、顔は見せてほしい。こんな可愛い顔に傷がついたなら、早く手当てしないと」
諦めて自らマスクを外した。
土岐は目を見開き言葉を失っている。
「救急箱はある？」
優しい笑顔で聞くと、ただ頷いて立ち上がった。
痛そうな体を見て支えた寺島。
「…っ」
痛みからなのか、口が開きにくい。
上手く喋れず、頭を下げて箱を渡した。
「ありがとう。」
手を引いてリビングへ向かうと、ソファに座らせた。
その前に膝立ちになり手当てを始めた。
「何も聞かないって言ったけど…到底許せることじゃないよ。」
目線を下にして黙っているA
「一つだけ聞かせて。こんなことをしたのは、彼氏なの？」
首を横に振った。
「やっぱそうだよね、並木さん彼氏いないって言ってたもんね。」
手当てが終わると、頭を撫でた。
立ち上がると
「土岐、ぶつかってきたのは確かに男だったか？」
「はい。」
「顔も見えてないのに？」
「身長とか、体格とか…はっきりとは見えなかったけど、あれは男です」
「わかった。」
ソファに腰かけた。
「並木さんが知ってる人なんだよね？」
頷いた。
「今日は俺ら帰るけど、誰が来てもドアを開けちゃダメだよ」
「はい…」
――…
「誰だろう」
「誰ですかね」
「俺の時よりひでぇな」
「口からの出血の多さが伺えましたね」
「俺らと同じなのか、はたまた別件か…調べる必要があるな」
「そうですね。明日オフですし、今から惇太さんち行っていいですか？」
「ああ」
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作者名：のまじゅ♪ | 作成日時：2023年10月31日 19時
