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「実際には食ってないだろうが!!未遂だろ!」
斉藤が叫ぶと
「え、壮馬なの?」
「…」
わかりやすく目をそらし黙った斉藤
「今日は食べていい日にしよう?明日からまた頑張って、週に1日くらいは皆で飯食おうよ」
「…っ、はい!」
江口の言葉に感動し、笑顔で返事した。
「じゃあ乾杯!」
「「かんぱーい!」」
グラスが鳴った。
「いただきます」
寿司を口にすると、目を瞑ってかみしめた。
「美味い?」
「はい、最高です…っ」
「つか今思ったんだけどさ、並木の実家ってジュエリー会社のNamiki…?じゃないよな、まさか」
笑って酒を飲んだ江口
「そうです」
「(ブ──ッ!!)」
その酒を吹き出した。
西山と斉藤も箸が止まった。
「え…は?じゃあなんでアクセの一つもつけてないんだよ!タダで手に入るだろ?!」
「嫌いだからです。宝石で着飾ったり、ブランド物でマウント取る人が」
「だからって…」
「アレルギーだと言いましたよね。実は幼いころは大丈夫だったんです。母にいつも自分には似合わない宝石をつけられていました。年齢には合わない物だったので、周りから妬まれて、友達は離れて行きました。つけたくないと言えば母に叱られ、自覚を持てだのなんだのって…うんざりしてたら、アレルギーを発症してしまいました。でも、母に逆らってでも宝石を手放したら友達が出来るようになったんです。それでから、アクセサリーはつけていませんでした。」
「そういえば俺があげたブレスレット、つけてないな。」
「すみません、やはりアレルギーが出てしまいました」
「…それ、金属アレルギーじゃないと思う」
「え…?」
「精神的なもんだな」
斉藤が言うと、江口も“そうだな”と頷いていた。
「高価な金属にはアレルギー反応が出ないものが多い。俺があげたやつもアレルギー加工がしてあった。」
「なるほど…そうかもしれません。」
「そういえば、保住はお前の実家のこと知ってて、たかってきたりしなかったのか?」
「そうですね、それはありませんでした」
「そ。」
それなりに本気だったってことか。
「いいなぁ、ジュエリー…」
「そんなにいい物ではありませんよ。確かに宝石をつければ自分を高められるかもしれませんが、それは本質ではなくあくまで外見です。借金をしてまで自分を高く見せたがる方がいますが、私は努力で作る中身で勝負したいです」
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作者名:のまじゅ♪ | 作成日時:2023年10月31日 19時