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「自立して自由になる為には、声優にならないとダメなんだ?」

「そういう意味ではなくて、声優じゃなくても何でもいいですが私にとって就きたい仕事が声優でした。なので」

「そ。じゃあ声優になれば絶対に結婚出来るんだ」

「…きっと、」

「だったら俺と一緒にいた方がいい。来年、事務所入所のオーディションだろ?」

「はい」

「俺が」

「何もしないで下さい。自分の実力だけで勝負したいので…」

「わかった。Aがそういう子だってわかってるから、そう言ってくれて良かった。じゃあ、帰るね」

「…」


止めるなら今しかない。
心で私が叫んでる。
本当は別れたい。でもさっきの目は本気だった。
もしここで別れてしまったら、本当に何かされるかも…
それに、私は……





「あのっ」


玄関まで見送ると、保住の背中が



「なに?」

「私のこと、まだ好きなんですか…?」

「好きだよ。じゃなきゃ来ないって」

「本当に、もう浮気しませんか…他に女の人は」

「絶対しないし、連絡とってる女はいないよ」


そんなの嘘だってわかってた。
でも、まだ好きなんだ……そう思った。
不思議と悔しさではなく、安堵している自分に驚いた。

半分は夢を壊されないため
半分はまだ好きだから。

きっと、事務所に所属して仕事をもらえるようになれば…
その時には、この関係は終わるだろう。





‥……─━━━






「という感じでした」


笑顔で話すAに、引いている江口と西山。



「バカだな。あいつにそんな力ある訳ないだろ」


そう言い放った斉藤。



「それって何歳の時の話?」

「3年前なので、21くらいですね…」

「え、それで3年も付き合ってるんだ!あ、もうデビューしたから別れたの?」

「それだけではありませんが、彼の女遊びが治らないので…」

「あー…」


江口が“うんうん”頷いていると



「所属決まった時に振ってやれば良かったのに」


斉藤が言うと



「ずっと会っていなくて、お互いに忙しかったので…それすら忘れていました」

「結局何もされなかったんだろ?」

「そのようです」

「…良かったな。」

「あっありがとうございます」

「お前が声優になってくれて、良かったよ」


驚いて耳が赤くなったA
江口と西山のニヤニヤした視線に気づいた斉藤



「や、業界に優秀な人材が入ることは多くの人にとって」

「はいはいはいはい、そうーですねーーーー」





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作者名:のまじゅ♪ | 作成日時:2023年10月31日 19時

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