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「でも家は知れてますよね。初めてじゃないように見えましたけど」
「それは…」
「もういいですけど。今更聞いても、何かが変わるわけではありません。」
「そうだけど…」
「浮気は一度した人は、二度目も必ずあります」
「…」
「別れましょう」
「い…いやだ。Aはもう、俺のこと許せないの？一度だけ許してくれない？お願い。何でもするから。Aの為に、何でもする。もし結婚してって言うなら、するよ。だから」
「簡単に言わないで下さい…」
「…そうだよね、Aは親が決めた人としか結婚できないんだもんね」
「そうじゃありません」
「そうじゃん！！」
「…っ」
立ち上がって叫んだ。
「それは、何とかなるから…」
「何とかって何？どうなるの？どうすれば俺と結婚できるの？ねぇ！」
「今は…まだ、」
「Aは、親の言いなりのお嬢様だから。ふ…はは…っ」
「…」
笑っている保住の顔を見ることができなかった。
「前から聞きたかったんだけどさ…何でそんな家庭事情があるのに、俺の告白受けたの？何であの時断ってくれなかったんだよ！！」
「じゃあ有哉くんは、どうしてそれを聞いても付き合い続けたんですか。なぜ別れなかったんですか」
「もう好きになってたんだから無理だろ！！」
「……私もそうです。私も、好きだから断れませんでした。だから、早すぎるけど先の事を考えて、家から離れられるように努力し続けてきました。でも…もう、有哉くんの為に努力は」
黙って近くにあったクッションを投げた保住。
驚いて頭を抱えたA
「ねぇ、僕と別れたら絶対声優になれないよ！？」
Aの両腕を掴み揺さぶった。
怖くて声が出ない。
「だって……僕が裏から手を回すから」
「…ひっ」
髪を掴まれ顔を上げられた。
「なーんてね。ごめん、最後に悪あがきしてみた。」
私にはわかった。
彼の目が本気だってこと。
嘘つくときの目ではなかった。
「お前も答えてよ、最後に」
いつもの笑顔でソファに戻った。
「え…？」
「どうして僕と付き合ったの。将来も無いってわかってたのに。僕とは遊びだったの」
「ですから…違います。本気で好きでした。確かに私の家系は特殊だけど、声優になって自立したら自由にできると思って」
「…はは」
ただ笑った保住、呆れているようだった。
「…っ」
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作者名：のまじゅ♪ | 作成日時：2023年10月31日 19時
