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コンコン
ノックをすると、“はぁい”と柔らかな返事が。
「失礼致します」
中へ入りドアを閉めた。
「初めまして。私2年の並木Aと言います。よろしくお願い致します」
頭を下げると、椅子から立ち上がりこちらへ近づいてきた。
「保住です。どうもぉ」
にっこりとした笑顔で軽く腰を曲げた。
「あ…あの、っ」
近くで顔を見たからか、緊張して言葉に詰まってしまった。
「うん、どうしたの?」
「そ、その、講師から、控室へ向かうよう言われまして…きっ来ました!」
「ああ。もしかして君が講師のおすすめ…」
「おすすめ…?」
頷いた保住
「増田さんが、講師の方に最近いい子いる?って聞いてて」
「いい子、ですか…?」
「ああ、ここでいういい子って言うのはね?将来有望な実力者はいるの?オーディション通りそうな子は?みたいな、そんな感じだよ。」
「え…あ、いや…もしかしたら、私ではないかもしれません…」
「いや、君だよ」
「え?」
「第一声を聞いた時から確信してた。僕目が悪くてね?だから近づいたの。こんなに声が素敵な人が、どんなお顔してるのか、気になっちゃって」
微笑まれドキッとしたA、顔が赤くなっていく。
「良かった、想像通り可愛らしい子で」
「そんな…私は全然、」
「あ、良かったらライン教えて?」
「はいっ」
すぐにスマホを出した。
交換をすると
「あっ増田さんたち戻ってきちゃう。交換したことは、誰にも内緒だよ」
「はいっ」
「じゃあもう戻っていいよ」
「わかりました!」
トークショーが終わると、講師に呼び出され増田さんとお会いしたのか聞かれたが、会えなかったことを伝えるとがっかりしていた。
その夜、電話が。
「はいっ」
「あ、並木さんかな」
「はい、並木です」
「こんばんは、保住ですぅ」
「こんばんは…っ」
「今日はありがとう」
「いえ、こちらこそ…!」
「ふはっ。もしかして緊張してる?」
「はい…」
「可愛い。急にこんなこと言ってチャラいと思われるかもしれないけど、今度デートしよ?」
「で…っデートですか?!」
「うん、でもごめん。僕外歩いて色々と問題になると困るからさ…良かったら、並木さんの部屋に行っていいかな?」
「あ…はい」
「ほんと?!やったぁ!」
素直に喜ぶ声に、その姿を想像し可愛いと思った。
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作者名:のまじゅ♪ | 作成日時:2023年10月31日 19時