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玄関を出ると、こちらを見た男。



「え…俺部屋間違えた?そこだったっけ?」


部屋の番号を見て笑った。
スマホ片手にこちらへ近づいてきた。



「や…あの、実は」

「ていうか、久しぶり。少し痩せた?可愛くなったね。それで新しい男が出来たとか?今日は何?ちゃんと別れる為の話し合い?電話で終わりそうだったから直接来たけど」


いきなりのマシンガントークで押されるが



「あの…別に新しい男が出来たとか、そういうわけではなくて…その、…そう、ちゃんと話さないとなって思ってて…連絡、遅くなってごめん」

「いいけど。つか引っ越したの?」

「いや、ここは先輩の部屋で」

「先輩?誰」

「とりあえず、部屋入っ」

「は?何で。お前の部屋でいいじゃん。」

「二人で話しても、解決できないと思って…」

「はぁ。それで先輩に協力してもらったわけ?それって迷惑だと思わないの?前から思ってたけど、そういう非常識なところあるよね。お嬢様だから、一般常識知らないのかなってずっと心配だったんだよね。だから今まで俺がカバーしてきたのに、俺がいなくて大丈夫なわけ?」

「…っ」


そうかもしれない…


返す言葉が見つからなかった。



「いいからAの部屋行くぞ」


腕を引っ張られ部屋の前まで来た。



「開けて」


言われるまま鍵を取り出すと、江口の部屋のドアが開いた。



「何やってんの」


出てきた斉藤、二人も顔を向けた。



「お疲れ様です」


男が頭を下げると



「お前か」

「え…?」

「何でそっち行くんだよ。」

「え、先輩そこに住んでるんですか?」

「ここは江口さんの家」

「そうなんですか…あの、Aと何かあるんですか?さっきそこから出てきましたけど」

「別に。共演してるだけ。ただの集まりだけど。」

「そうですか…すみません、俺Aと話があるので」

「うん、俺も。つか、俺がお前を呼べって言った。お前並木の彼氏なんだろ?」

「え…あ、はい」

「俺らはお前に用があるんだよ。だからこっち来い」


そう言うと、部屋へ戻っていった。

ドアが閉まると



「何…どういうこと」

「だから、さっき言った通り二人で話しても解決できないと思って」

「…マジで常識知らずだなお前。先輩にも、俺にもこんな迷惑かけて。俺の評判も落ちるだろうが」

「それは、ごめん…」

「もういいわ。腹立ってきた。お前には何を言っても無駄。」





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作者名:のまじゅ♪ | 作成日時:2023年10月31日 19時

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