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「指輪ですか…?…ああ、ありました!」
「ほんと!?良かったぁ。じゃ取りに行くね」
「あ、すみません…土岐さんにお渡ししました…」
「え、土岐?」
「はい、昨日お会いした時に、惇太さんのだから返しておいてあげると言われ…」
「あー…そうだったんだね!わかった。ありがとう。あ、それから」
「はい」
「並木さんのライン、江口さんに聞いてもいい?」
「はい、構いません。」
「ありがとう!それじゃあまた連絡するね〜」
「はい、お疲れ様です」
切れたのを確認して江口に返した。
「ありがとうございました。」
「なんだったの?」
「あ、指輪を」
「やっぱり惇太さんのだったんだ」
「え?」
斉藤がつぶやいた。
「なんか見たことあるなって思ってて」
「そうなんですね…」
「何で惇太さんの指輪がお前の部屋にあんの」
「あ…たぶん、以前部屋まで送って下さった時に落としたのかと…」
「ふーん」
しばらくして西山が来た。
「お疲れ〜え何でいるの」
Aを見て足を止めた。
「お疲れ様です…」
ため息をついて江口の隣に座った。
「なんですかこれ、江口さん」
「宏太朗と壮馬に、仲良くしてほしくて」
「…それで何でこいつがいるんですか」
「今共演してるんだから、一緒に仲良くなった方がいいかなって」
「今だけでしょ!?そんな長く付き合うわけじゃ」
「わからないよ〜?ほら、もしかしたら長く共演が続くかもしれないじゃん」
「まぁ…わかりませんけど、たぶんないです」
二人がAを見た。
「え…?」
「並木はまだまだ新人だけど、実力もあるし、これからもっと共演が増えるかもしれない。それに、他の先輩との共演が増える。そしたら、お前らが並木を守ってやらなきゃいけないんだぞ」
「はぁ?」
西山が声を上げると、斉藤も意味が分からないといった顔をした。
「先輩としての自覚持って、並木を守れ。俺が言ってる意味わかるよな?」
同時に俯いた西山斉藤。
「あの…私は」
「これからもっと辛い環境下におかれるかもしれない。それを覚悟しておいて」
「…?はい…」
「俺が一緒の時は守ってやれるけど、お前のことを知らない奴らばかりの現場で、孤立するかもしれない。だから、その時に宏太朗か、壮馬がいてくれたら頼れるような仲になってほしい」
江口の言葉、表情に我慢できず涙があふれてしまった。
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作者名:のまじゅ♪ | 作成日時:2023年10月31日 19時