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─────…


──…




俯いたまま、
そんなことを考えていた時だった。





ふわっと温かい感触が俺の頭を包む。





『ねぇぐぅ?ありがとう、守ってくれて。』

「………、」


守れてないよ、
だってヌナ怖かったでしょ?



そう心の中で呟く俺。


『ぐぅがすぐ戻ってくるって知ってたから、
私全然怖くなかったよ?

だから、謝らないで?』



そう言って
俺の頭を抱き締めてた手を離したヌナは、


『ほら、そろそろ帰ろ?』



そう言って微笑むと、
小さな冷たい手で俺の手を引く。




ツンと鼻につく冷たい空気が
涙を誘う。





こうやって2人、
あと何回並んで歩けるかな?





こんな考えになるのも、
きっと、全部冬のせいだ。





「…手、冷た。」
『うるさいなー、末端冷え性なの!』



そう言って手を離そうとするから、
ぎゅっと握り直した俺は


「え、手ぇ冷た。」
『なっ、じゃあ離せばいいじゃん!』


「やーだよー。Aヌナが迷子になるから
ちゃんと掴んでないとでしょ?」
『や、迷子なったことないし。離しなさい。』



「Aヌナはさ、」
『ん?』


「うぅん、やっぱ何でもない。」
『えー?なに、気になるじゃん。』


「なんでもないの!」
『なんで怒んのよ。』


「怒ってない!」
『ふふっ、怒ってんじゃん。』






“俺のこと、どう思ってる?”




たった一言、
それだけなのに



外に出せないこの気持ち…





手を繋いでも、
心までは繋がらない現実。





『じゃ、また明日ね?』
「うん、また明日。」




互いの帰路につく分かれ道。





いずれ無くなる
“また明日”っていう
約束じみた挨拶…






「………大好きだよ、Aヌナ。」







独り言ならこんなに簡単なのに、
どうしてヌナには伝えることが難しいの?





そう思って振り返ってみても
すでにヌナの後ろ姿は遠くて、






これが本当の俺達の距離…





「………ふっ、帰ろっと。」





なんだかバカバカしくなって
早足で家まで歩いた。



早く帰って風呂入って早く寝よ。




そしたらまた明日、
ヌナと笑顔で会おう。





それでいいんだ、






そう、自分に言い聞かせて。










毎日溢れては溢れそうになる
恋心に蓋をする作業、





これが最近の日課。





いっそ彼女が卒業してくれれば、
こんなに苦しまずに済むのかもね。

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作者名:ぽんさん。 | 作成日時:2023年11月15日 18時

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