─── ページ48
─りょうside─
最近Aの様子が変だ。
ボーッとしては、首を傾げて溜め息。
その視線の先にいつも居るのは、としみつ。
りょう
「A?、としみつとまたけんかでもしたの?」
俺がそう聞けば、
『いや?、してないんだけどさー。なーんか、むかつくの。』
そんな憎まれ口を言う顔は、本気で腹立ってるってより、どちらかと言うと拗ねてるみたいな可愛い顔。
まさか、ね?
口に出すのも嫌な事が頭に過ぎってしまった俺は、そんな考えを打ち消すように
りょう
「あ、そうだ!最近2人で出掛けてないし、これからドライブでも行かん?」
そう誘えば、行く行くーなんてノッてくれたから少しだけホッとしてドライブに行くことに。
くだらない話をして、大の大人が2人でふらっと寄った南公園で遊んだりして。
こんなチープな遊園地、
Aとじゃなきゃ絶対来ないな、
Aとだから楽しいんだな、
そう思いながらAを見た時───…
さっき頭に浮かんでかき消した疑惑が、俺の中で確信に変わってしまったんだ。
りょう
「最後に観覧車乗らん?」
そう言って手を握れば、何か察したかのように静かに頷いたA。
陽気に手を振る係員のお兄さんに手を振り返して、静まり返る観覧車の中。先に言葉を発したのはAの方で。
『……あのね、りょうくん、』
りょう
「うん?」
『……私、実は昔から好きな人居たみたい。』
りょう
「…それ、としみつ、でしょ?」
俺がそう言うと、なんで知ってるの?と言わんばかりに驚いた顔をするA。
そんな顔まで可愛く愛しく思えてしまうんだから仕方がない。
りょう
「俺ら何年の付き合いだと思ってるの?Aが考えてる事位、すぐ分かるよ。」
そう、Aが楽しんでる時も悲しんでる時も、嬉しい時も辛い時も……
中学の頃からずっと近くで見てきたんだから。
俺がそう言うと、
『…そっか、そうだよね、昔からりょうくんは私より私のこと知ってるもんね。』
綺麗な横顔でそんな事を言うから、思わず抱き締め
りょう
「…そうだよ、ずっと惚れてたから。」
その言葉と共に、長い長い俺の片想いが儚く散っていくのを感じた。
『…ありがとう。』
綺麗な指先で俺の頬に触れる感触で、涙を流してると気付く。
りょう
「幸せになれるといいね。」
俺がそう言うと、なれるかな?なんて不安そうに微笑むA。
大丈夫だよ、
そう言いかけたけど、辞めておいた。
それはきっと2人で見つける答えだから──…
42人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぴーさん。 | 作成日時:2018年11月5日 15時