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─── ページ32

─しばゆーside─


飲み物を買い、ベンチに座る。


『…あの頃、よく考えてた事あったんだー。』
しばゆー
「えっ?」

『私が私らしく居られた時、祐輔は祐輔らしく居られてるのかなー?ってよく思ってた。』
しばゆー
「……。」

『私は疲れた顔出せるのって祐輔の前だけだったから。でも、祐輔はだんだん私の知ってる祐輔じゃなくなってるなーって。』
しばゆー
「……。」

『だからきっと、あのまま一緒に居たとしてもお互いダメになってたと思う。
だからね、祐輔が動画の中で幸せそうに笑って自分らしく居られるのは奥さんのお陰なんだなって。』

そう言って微笑むAを、不覚にも綺麗だと感じてしまう。
俺は何て言ったら良い?誰か教えてくれよ。

『祐輔はさー、人に対して良くも悪くも優しすぎるとこあるからきっと大変なことってたくさんあると思う。でも、絶対曲げたくないって所は曲げちゃダメだよ?』
しばゆー
「……A。」

『ってね、ずっと、言いたかったんだ。』

そう言って、あースッキリしたなんて見覚えのある笑い方をするから、

しばゆー
「……ごめんね。」

そう、一言呟けば

『謝らんで?私もほら!♪』

そう言って見せられた指先にキラッと光る銀色の輪。

しばゆー
「えっ…もしかして、それ…」
『ふふっ、うん。私も来月結婚するんだ♪』

だからこのタイミングで独身時代に思い残してた事が出来て良かった、ありがとうなんて逆に感謝される。そして、

『祐輔、これからもお幸せにね?♪』
しばゆー
「…Aも、幸せになって。」

『うん、サヨナラ、祐輔。』
しばゆー
「…サヨナラ。」


そう言って振り返りもせず歩いて行く彼女の背中を見送れば、

今までずっと淀んでいた彼女と過ごした時間の記憶がどんどん心の中で澄んだものに変わっていく。

やっと“大切な思い出”として、心の奥底にしまえるような、そんな感じ。


そして、その背中に心から願うことが出来る。



──── 誰よりもしあわせに! ────



そう思った時、


涙が出てると言うのに、心の中は清々しい程晴れていた。



やっと、


本当の意味で1つの恋が終わった瞬間───…


終わりは何も悪いものじゃない。


だって俺、今なら心から思えるから。




─── 出会ってくれてありがとう ────




俺は心の中でそう呟き、一生愛し抜くと決めた女に、LINEを一通送る───…

柴田祐輔あーちゃん、今日も愛してるよ。

戦犯したって。【続】(tty)→←───



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作者名:ぴーさん。 | 作成日時:2018年11月5日 15時

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