─── ページ31
─しばゆーside─
そして俺は自分勝手を重ね続けて、それがバレて責められた挙げ句、一方的に告げた────…
《ねぇ、浮気ってどう言うこと？》
しばゆー
「…ごめん！好きな人出来た！！」
《え、ちょっとそれって…？》
そう電話口でのAの寂しそうな声に泣きそうになったけど、そんなAの話を聞く事よりも、その時俺は他の人に大事な事を伝えなきゃいけなかったから……
だからAの答えを聞かないまま、あの日、電話を切ったんだ───…
─────…
そんなことを久し振りに考えてしまっているのはきっと、動画の撮影の買い出しで激安量販店に居る現在、ポップな店のテーマソングの合間に流れている有線のせい。
そして一緒に買い出しに来ているてつやが、
てつや
「あれ？この曲久々に聴いた〜！なんかこれ聴くと思い出すなぁーしばゆーの元カノ♪あの子もこの曲好きだったじゃんね？」
なんて、そんなことを言い出すから。
別れた後すぐに新しい女に乗り換えた俺を、Aが元々りょうととしみつと仲良かったってのもあって、２人にかなり責められたのも覚えてる。
その時にせめてもの贖罪として決めたのは、もうあの曲を聴かないって事と、いろんなものを裏切ってまで手に入れた女を何があっても愛し抜くと言うこと…
そんなことを考えながら買い物を終えて駐車場に向かってた時だった───…
『あれ？祐、輔？』
噂をすれば何とやらとは、このことか。
声のする方へと振り返ってみれば、そこには数年前より少しだけ大人っぽくなったAの姿。
しばゆー
「あっ、え…っと…」
何も言うことが出来ず、どうしようもなく気まずくなってしまった俺に向かってAは言う。
『動画、見てるよぉ〜？頑張ってるやん！♪』
しばゆー
「あ…うん、まぁね。」
そんな様子を見ていたてつやは、先に車行ってるからなんて空気を読んで行ってしまった。
何を話したら良い？
あの時は、ごめんね？いや、今さら過ぎる。
元気にしてた？…いや、違うな。
…それに動画見てるって事は、あの動画も見たのか？あの動画とかあの動画も？
いろんな事が頭の中いっぱいになって、分からなくなる。
そんな俺に、あそこのベンチで少し話せない？なんて言うから、流されるまま着いていく。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴーさん。 | 作成日時：2018年11月5日 15時
