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それから、彼女の荷物が日に日に茶色の箱に一纏めになっていくのを見て寂しくなった俺が、
ゆめまる
「ねぇ、やっぱ俺は好きだよ。Aのこと。」
そんな事を言えば、
『…うん、私も好きだよ。ゆめくんのこと。』
ゆめまる
「じゃあやっぱり考え直そうよ?別れるじゃなきゃ本当にだめなの?」
『…うん、だめ。今離れないとYouTuberとしてどんどん遠くなっていくゆめくんを、心から応援出来なくなっちゃう。その方が悲しいから。』
そう言ったAの背中を見ながら、自身に言い聞かせた。
──お互い嫌いになった訳じゃない、
お互い夢に向かって歩いてく
この別れは良いことなんだ───
──────────…
──────…
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まもなく〜14番線 14時12分発〜
のぞみ128号東京行きが参りま〜す
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ゆめまる
「…身体、気を付けてね?」
『…うん、ゆめくんもね?お酒ばっかだめだよ?』
ゆめまる
「…うん、俺も頑張るからAも、」
『…うん、分かった。もう先に行って?見送られたら電車乗りたくなくなっちゃうから。』
ゆめまる
「……分かった、じゃあ行くね。」
『うん、ばいばいゆめくん。』
そう言ったAの声が震えていたのが分かったけど、
振り向いてしまったら、抱き締めてしまいそうで
“強がらせて”って言うAから俺に対しての最後の我が侭さえ叶えてやれそうにないから、グッと堪えて足早にホームを後にする。
でもね、本当はそんな大切なキミに伝えたいことがあったんだ。
それは、きっとこれからたくさんの幸せがAを待ってると思う。
きっと守るべき愛する人に出逢う日も来る。
だからその時は、迷わず手を伸ばしてね?
俺のこと忘れられちゃうのはすごくすごく寂しいけど、
例えそれでも、Aが笑ってるならそれで良い。
貰ってばっかりで渡すの遅くなってごめんね、
こんな形になってしまったけど、
───“ 愛 し て る ”───
幸せな未来を願ってサヨナラを選択する
お返しにもならない位だけど
俺の大切なAへの愛情。
ばいばい、大好きだよ。
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作者名:ぴーさん。 | 作成日時:2018年11月5日 15時