93話 ページ48
どうしてこうなったのか。
消息不明の最後の一人は地下道を二人で歩きながら先程までの会話を思い出す。
数分前_______
やっほー、と気の抜ける声で笑うセレナに、ようやく驚きから解放されたゾムが噛みつく。
「なんっであんたがここに…！」
「いやー、焚き付けたの多分私だしね。死なれたら困るなーって」
話す間にもセレナは正確に撃ち抜いた敵の手の傷を紐で縛ってその出血を止める。その手つきは実に手慣れている。
哀れな彼がとりおとした銃は分解されて放り投げられ、ついでにまだ入っていた弾丸はしっかりと奪って彼女のポケットへ。
「死なれたらって…！俺が死ぬと思ったんか？」
「思ってないよ？でもほら、前にウランかなんか取りに行って死にかけたーって詰め所に倒れこんだことあったでしょ。あなたも人間なんだからね、保険」
「んな軽いノリで…大体どうやって知ったん？」
「エミさん意外と押しに弱いからね」
「あいつ…！」
エーミールへの食害が決定したとき、手当てを終えた兵士をぽいっとセレナが放った。バチャッと音がして、そして消えた。
「ほら、助けたんだから最後まで面倒見てあげる！」
「あんたは母親か！」
みゃあ！とセレナに手渡された真っ白な子猫が嬉しそうにゾムにすりよる。
その仕草にムスッとしていた彼の表情も柔らかくなった。
「…よかった」
「みゅう！」
子猫の位置がゾムのパーカーの胸元に決まったところでセレナが声をあげる。
「よし、では行こう！」
「え？」
「証拠集めに！そのために来たんでしょう？」
「…お前も来んの！？」
「妹が狙われたのに放っとける姉はいません！」
「せやけど…」
「あら、さっきは結構役立ったつもりだったけど？」
その言葉に返していればこの状況にならなかったものを…と、後悔してももう遅い。
「お前、気を付けたほうがいいで。あのお姉さん、怒るとめっちゃ恐ろしいからな」
「みゃ？」
「そうや」
「何かいったー？」
「いえ何もー？」
_______子供扱いされるから嫌やねん。１つ違うだけなのに。
…もう、あんたを守れるくらいには、十分強くなったのに。
…という彼の誠密かな想いはしかし、残念ながらこれまで一度も伝わったことがないのである。
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ポピー(プロフ) - もし、“お知らせ”に記されている中から選ぶのなら、トン氏で。記されていなくても良いのなら、ゾム氏をよろしくお願いします！設定が凝っていて面白いのでつい全部一気読みしちゃいました！更新頑張ってください！ (2018年11月25日 21時) (
レス) id: 8149f9681e (このIDを非表示/違反報告)
ななか(プロフ) - ロボロに一票。最近の生きがいです、ありがとうございます。 (2018年11月22日 23時) (レス) id: c06d19efdc (このIDを非表示/違反報告)
マロウブルー - ももさん» す、素敵な文章…！？ありがとうございます…！はい、トントンさん二票目でございますね！そしてまさかのテストの応援まで…！実は真の敵は明後日だったりします(笑) (2018年11月20日 15時) (レス) id: 75a1a6830c (このIDを非表示/違反報告)
マロウブルー - 柏餅さん» 回答ありがとうございます！ロボロさん一票いただきました！ (2018年11月20日 15時) (レス) id: 75a1a6830c (このIDを非表示/違反報告)
マロウブルー - 白人さん» 回答ありがとうございます、トントンさん一票目です (2018年11月20日 15時) (レス) id: 75a1a6830c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マロウブルー | 作成日時：2018年11月7日 17時
