嘲笑 ページ19
嘲笑
×××
爆音が響き渡る戦場を掛ける男は、眼前に立ちふさがる異形の者をただ斬り伏せた。肩で息をしながら、片手で持った剣をそのままに、空を見上げる。重たい雲が空を覆い尽くし、今には雨が降りそうだった。
遠くで人の叫ぶ声が聞こえる。――ああ、また、人が死んだ。
「――……銀時」
「A」
血塗れになった女が、銀時の前に立っていた。
美しい女だった。
縹色の髪。白い肌の上に引かれた血。そして代赭色の瞳が、銀時を見つめていた。
――もうあの日から、数年が経った。
その間にAは随分と変わってしまった。今までとてもマイペースだったのに、淡泊で、どこか冷酷さを感じるようになった。
Aは、無慈悲に命を奪うような人間とは、とても思えなかった。
銀時は頷いて、刀を鞘に納めた。
Aが銀時の隣を通り過ぎる。銀時は鼻を掠める匂いに、Aの肩を掴んだ。驚いて振り返るAに、銀時は目の前を流れる髪に指を通した。
「…………血の匂い、染みついちまいそうだな」
「もう、染みついてるよ」
「……悪い」
わざとじゃない。
Aは大袈裟だなぁ、と言って笑った。
銀時はAの頬についた血を撫ぜる。掠れて伸びたその痕に、酷く罪悪感に苛まれてしまった。
美しい女になったAを、戦場へ赴かせ汚してしまうのに心が痛まれたのだ。
「悪い」
もう一度、縋り付くように。
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ルアルア(プロフ) - 無影灯さん» コメントありがとうございます!更新が遅くお待たせしてしまうことも多いかと思いますが、これからも応援していただけると嬉しいです! (2020年3月29日 17時) (レス) id: 013413cedf (このIDを非表示/違反報告)
無影灯(プロフ) - 見入っちゃいました…とても素敵なお話でした!更新応援してます! (2020年3月23日 21時) (レス) id: 26d889b496 (このIDを非表示/違反報告)
ルアルア(プロフ) - 神月さん» コメントありがとうございます!ありがたいお言葉本当に感謝します...相変わらずの低浮上ですが、読者様のお言葉を励みに頑張ってまいります!! (2018年8月30日 10時) (レス) id: 61b26fbf84 (このIDを非表示/違反報告)
神月(プロフ) - 読み応えがすごくあります!次の話がとても気になります!面白いです!作者様のペースで、更新頑張ってくださいね。応援してます! (2018年8月27日 6時) (レス) id: 52a5891399 (このIDを非表示/違反報告)
ルアルア(プロフ) - ginさん» コメントありがとうございます! 更新は相変わらず遅いですが、面白いと思っていただけるような作品を目指して頑張って行きます! (2018年7月8日 9時) (レス) id: 013413cedf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルアルア | 作成日時:2018年4月7日 3時