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クーデレ男子と思案。 ページ8

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「……佐藤くんって思ったより人の話聞いてるよね」

「……」



―――悪口かと思った。……いや、やっぱり悪口か?
隣の席の女子……二宮は会話をしているとたまに、こうして脈略のないことを言い出すことがあった。

どう返答しようか思案していると、俺が怒っていると思ったのか、
取り繕うかのように二宮が矢継ぎ早に言葉を紡ぎだす。



「……いや、ごめん失礼だったわ。んー、なんて言えばいいんだろ、
 ほら佐藤くんってあんまり相槌とかオーバーにする方じゃないじゃん」

「……ああ、」

「だからほら、なんて言うのかな、
 今の話興味なかったかな?って思う時もちょくちょくあるんだけどさ、」



―――なるほど、と、素直にそう思った。

結論から言えば二宮の話に興味がない訳では決してない。
ただ感情を、そして生産性のない言葉を必要以上に表に出さないだけだ。

そのせいで『無愛想』『冷血漢』と他人から評価を付けられたこともある。
その度に俺は、言いたい奴には言わせておけばいいと思っていた、のだが。



「でも佐藤くんって話の本質は理解してくれるし、掘り下げて欲しいことは聞いてくれるし」

「……」

「なにより、人が話したことちゃんと覚えてくれるよね」




――――此奴は、二宮Aという人間はこういう人間だった。

なんと形容すべきか。此奴こそ、二宮こそ普段へらへらと笑っている考えなしのように見えて
人間の本質を理解しようとするし、実際にそれをやってのける人間だと俺は思っている。

まあそれが俺自身の本質というか、本心かと問われればそれはまた別の話なのだが。



「……俺は、何でもかんでも記憶するわけじゃないけどな」

「えー、でも佐藤くん私のすっごいどうでもいい話覚えてたりするじゃん」

「……そもそもどうでもいい話を他人に聞かせるな」



何より、そこまで理解しているのなら察してほしい。

犬よりも、猫が好きだとか。
好きな食べ物はカレーだとか。

普通なら頭の片隅にも置かないような
お前の言うその「どうでもいい話」を、俺はお前の口から紡がれた言葉だというだけで、
馬鹿の一つ覚えみたいになんでも記憶しているのだ。


…………ああ、自分でも嫌というほど理解している。
俺は彼奴に――――二宮に、好意を抱いていた。



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設定タグ:オリジナル , 短編集 , 属性別男子   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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もぐもぐいちご(プロフ) - realさん» 返信遅れてしまってすみません;;realさんコメントありがとうございます!イラストも見ていただけて本当に嬉しいです…!これからも不定期ではありますが更新していきますのでよろしくお願い致します…! (2023年4月24日 2時) (レス) @page39 id: 30f259b2ae (このIDを非表示/違反報告)
real(プロフ) - イラストの方から来ました!めっちゃきゅんきゅんしました(*´-`)作者さまのペースでの更新楽しみにしてます! (2023年4月10日 12時) (レス) @page3 id: 3d1cb866c0 (このIDを非表示/違反報告)
もぐもぐいちご(プロフ) - 朱まぐさん» 返信遅れてすみません…!男の子視点、ヒロインは好きな子なのでとにかくかわいく見えるように意識してたのでそこに言及して頂けるの本当にめちゃめちゃ嬉しいです…!コメントありがとうございます!これからも拙文ではありますが楽しんで頂けると幸いです! (2022年12月11日 12時) (レス) id: 30f259b2ae (このIDを非表示/違反報告)
朱まぐ(プロフ) - 初めまして、こんばんは。男の子全員素敵です!9ページ目では佐藤君目線になってヒロイン可愛いと思ってしまいました!笑読んでて癒されました☺︎素敵な作品ありがとうございます。無理せず作者様のペースで頑張ってください! (2022年12月5日 22時) (レス) id: 0c936a9b54 (このIDを非表示/違反報告)
もぐもぐいちご(プロフ) - かんずめさん» コメントありがとうございます!下でも似たようなことを書いたのですが己の生み出したキャラたちを好きと言って頂けるの、本当作者冥利に尽きます…!はちゃめちゃに嬉しいです、これからも拙い文ではありますがお付き合い頂けると幸いです…! (2022年11月16日 20時) (レス) @page22 id: 30f259b2ae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もぐもぐいちご | 作成日時:2022年10月30日 17時

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