ツンデレ男子と特別扱い。 ページ6
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昼休み。
二宮と、クラスの男が話をしていた。
別に盗み聞きなんざするつもりじゃなかったが、男の声がでけえので
嫌でも耳に入ってきた。どうやら二宮が菓子を作ってきたらしい。
多めに作ったので何人かに配っていたようだ。
その男は菓子を貰えると聞いて馬鹿みてえにはしゃいでいた。くそ、うるせえ。
能天気な、あからさまに浮かれている男の声に苛立ちが隠せない。
因みにこれは決して俺が未だにその菓子を貰えていないから苛ついてるわけじゃねえ。
単純に、奴のはしゃいでいる、そう、声が気に食わねえだけだ。
「あ、えっとね、これはあげられないんだ、ごめんね」
そんなことを考えていた矢先のことだ。
突如、二宮が申し訳なさそうに告げたその言葉に
俺は今まで携帯に向けていた視線を其方に向ける。
二宮の手には小綺麗にラッピングされた焼き菓子があった。
代わりにと男に差し出されたのは、同様にラッピングされている焼き菓子。
だが、二宮の持っているそれと比べると包装もシンプルで
中に入っている菓子の数も二宮の手にあるそれより少ないように見える。
「え?あ、あーほんとだ、それだけ他の奴と違って豪華だな、
なに、特別なやつなの?」
「んー、うん。そうなの。これは特別なやつ」
だからごめんね、と二宮は再び申し訳なさそうに顔の前で手を合わせる。
男は特に気にしていないようで、菓子が食えれば何でもいいわ等と抜かしていた。くそ。
なんというか。勝手に盗み聞きをしておいてなのだが、無性に腹が立って仕方がなかった。
それは、菓子を貰っておいて舐めた態度を取るあの男についてか、
それとも、奴の言う“特別なやつ”を貰うどこかの誰かに対してか、
または、そこそこ奴と関わっているにも関わらず何も貰えていねえこの状況に関してか。
────そもそも、自分に関係ねえことなのに
こんな不毛なことをいつまでもネチネチと考える自分自身にか。
考えれば考える程、女々しいと感じる自分の思考に吐き気すら覚える。
「…………チッ、」
思わず口から漏れ出てしまった舌打ちは、
昼休みの終わりを告げるチャイムにかき消された。
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もぐもぐいちご(プロフ) - realさん» 返信遅れてしまってすみません;;realさんコメントありがとうございます!イラストも見ていただけて本当に嬉しいです…!これからも不定期ではありますが更新していきますのでよろしくお願い致します…! (2023年4月24日 2時) (レス) @page39 id: 30f259b2ae (このIDを非表示/違反報告)
real(プロフ) - イラストの方から来ました!めっちゃきゅんきゅんしました(*´-`)作者さまのペースでの更新楽しみにしてます! (2023年4月10日 12時) (レス) @page3 id: 3d1cb866c0 (このIDを非表示/違反報告)
もぐもぐいちご(プロフ) - 朱まぐさん» 返信遅れてすみません…!男の子視点、ヒロインは好きな子なのでとにかくかわいく見えるように意識してたのでそこに言及して頂けるの本当にめちゃめちゃ嬉しいです…!コメントありがとうございます!これからも拙文ではありますが楽しんで頂けると幸いです! (2022年12月11日 12時) (レス) id: 30f259b2ae (このIDを非表示/違反報告)
朱まぐ(プロフ) - 初めまして、こんばんは。男の子全員素敵です!9ページ目では佐藤君目線になってヒロイン可愛いと思ってしまいました!笑読んでて癒されました☺︎素敵な作品ありがとうございます。無理せず作者様のペースで頑張ってください! (2022年12月5日 22時) (レス) id: 0c936a9b54 (このIDを非表示/違反報告)
もぐもぐいちご(プロフ) - かんずめさん» コメントありがとうございます!下でも似たようなことを書いたのですが己の生み出したキャラたちを好きと言って頂けるの、本当作者冥利に尽きます…!はちゃめちゃに嬉しいです、これからも拙い文ではありますがお付き合い頂けると幸いです…! (2022年11月16日 20時) (レス) @page22 id: 30f259b2ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もぐもぐいちご | 作成日時:2022年10月30日 17時