幼馴染が強すぎる【潔世一】

バレンタイン ページ20

本日、2月14日はバレンタインデーで、男子は前日から…

いや割と2月に入ったあたりからそわそわしていた

まあ義理チョコが貰えたらラッキーくらいの気持ちで過ごすのが

1番気楽に過ごせると思っている

最近は友チョコなどもあるから、とクラス全員に

市販のチョコレートを配っている女子を去年は見かけたため、

意外と特定の男子は貰えていないということはあまりない

去年のバレンタイン、うちのサッカー部のエース、潔なら

何十個と貰うと予想していたのだが、

ほぼ全女子が"潔には雪代さんがいる"、つまり本命がある

と、用意していなかったらしい

すると驚くことに、バレンタイン当日は雪代さんが毎年流行する

インフルエンザで欠席し、潔は不運ながら0個だったのだ

俺でも(義理で)貰えたのに、と衝撃だったことを覚えている



｢ごめん、今年こそ雪代さんから貰うだろうと思って、｣



潔の分はない、と何も言ってないのに先に言われていた

ここまでくると可哀想とまで思えてくる

しかしもう予鈴が鳴っているにも関わらず、彼女はまだ来ていない

まさか去年の二の舞はないだろう、と思いたいが

潔も彼女が来ていないことを心配してか、そわそわしている

そして担任が教室に入り、HRの始まる本鈴が鳴り始めた頃

彼女は遅刻ギリギリ、滑り込みで教室に入ってきた



｢A、大丈夫か…？｣

｢だ、大丈夫…おはよう世一、山田くん…｣

｢おぉ、おはよう…｣



ボロボロになりながら席に着き、力尽きたように机に突っ伏した

話を聞けば、シンプルに寝坊したらしい

本命のために気合いを入れて作っていたのだろうと想像がつく

しかし彼女は潔に何か渡す様子もなく、普通にHRを聞いている

潔も緊張しているのがここからでもよく分かるのだが、

当の彼女はいつも通りだ



｢連絡はこれくらいだ、一限の用意しろよー｣



HR後、担任が教室から出てから彼女は真っ先に潔の席へ向かった



｢世一、今日はバレンタインだね〜｣

｢お、おう｣

｢去年渡せなかったから、去年の分も込みで用意しました！｣



一体何を用意したのか、クラス中が視線を向ける

が、渡されたのは1枚の紙だった



｢？なにこれ｣

｢夕飯の招待状。プレゼントはわたし的な？｣



今日親いないんだよね♡と付け足した彼女に

せめてうちにして、と彼は懇願していた



















｢え？よく見て、ちゃんと世一の両親も招待してるよ〜｣

｢………｣

｢ちゃんとチョコもあるよ♡｣

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