幼馴染が強すぎる【潔世一】

テスト期間 ページ15

｢ん？ここ違うよ｣

｢あれ、ほんと？｣

｢さっきの例文を思い出してみて──｣



夏休みという長期休暇の前にある、一大イベント、期末テスト

期末テストは中間テスト以降の範囲からではあるが、

範囲が広いことに変わりはない

ただテスト期間という、テストの1週間前は部活が休止にするから

テスト勉強に集中しろ、という素晴らしい制度がある

たまに、特定のスポーツの強豪校ではそれが適用されないことがある

うちの学校はサッカーが強いため、サッカー部はその一例である



｢本当にごめん、理解力がなくて…｣

｢気にしないで！いつも世一に教えてるし！｣



例の彼の部活が終わるまでいつも図書館で勉強しているという

雪代さんに文系の科目を教わっているのだが、

まあ自分の理解力の足りないこと

漢字や熟語、その意味、英単語などの暗記分野は頑張るとしても

文章題や英文法ができなければあまり点は取れないわけで

頭を下げて教えてもらい早一時間

彼女は自分の勉強もしながら、俺にも一から解説してくれた



｢…うん、大丈夫！合ってるよ！｣

｢…っ良かったー……｣

｢もうこの文法は完璧なんじゃない？次のやる？｣

｢いや、これだけ教えてもらったし！ありがとう！｣



またお礼をする、と言えばこれくらい朝飯前だと

眩しい笑顔を返される

もう一度ありがとうとお礼をし、荷物をまとめて図書室を出ると

丁度部活が早く切り上げられたらしい潔とすれ違う



｢お、潔おつかれー｣

｢おー！珍しいな、テスト勉強？｣

｢英語がヤバくて雪代さんに教えてもらってさ…｣



なるほどな、と納得した様子でそのまま図書室へ入っていった





＊





｢あ、やべ｣



靴箱で履き替える途中、図書室にプリントを入れていたファイルを

丸々忘れていることに気がついてしまった

しかし先程入れ違ったのは潔であり、今は図書委員もいるが

ほぼ2人きりのようなものだ

取りに戻って邪魔してしまう、しかしアレがないと勉強ができない



(……潔、ごめん)





＊





図書室に入り、先程まで使っていた席に戻る



｢潔ごめん、ファイル忘れて……｣



先程まで使っていた席には、なんで世一に謝るの？と

静かに笑う彼女と、隣で机に突っ伏して寝ている潔がいた

いつもこうなのか聞くと、その通りと言わんばかりに

大きく頷かれる

そりゃ彼女も毎回大変だと悟った

彼女の選択→←こういう時だけ？

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